観光のGDP寄与額、3.5%増の8.9兆ドル 20年は損失2.1兆ドル予測

2020.04.20 00:00

 世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)がまとめた調査報告で、全世界のGDP(国内総生産)に対する19年の旅行・観光産業の寄与額は前年比3.5%増の8.9兆ドルとなった。情報サービス産業、金融サービス産業に次ぐ成長率で、世界平均の2.5%を上回る。全世界のGDPの10.3%を占め、経済的インパクトをあらためて印象づけた。WTTCは30年までに11.3%への拡大を予測している。ただ、20年は新型コロナウイルスのまん延で移動が制限され、2.1兆ドルの損失を余儀なくされる見通しだ。

 調査はオックスフォード・エコノミクスと組んで世界185カ国を対象に実施した。寄与額には、国内外の旅行者による宿泊や移動、飲食、レクリエーションなどの直接消費のほか、政府投資も含まれる。

 旅行者の支出額は1.7兆ドルで総輸出額の6.8%、設備投資は9480億ドルで総投資の4.3%を占めた。3億3000万人が従事し、新規雇用の4人に1人を担っている。

 国別に見ると、1位米国(1兆8390億ドル)が突出して高く、2位中国(1兆5849億ドル)が追う構図。日本は3594億ドルで前年と同じ3位に付けた。上位10カ国の顔ぶれは変わらないが、5位のイタリア、8位のスペイン、9位のメキシコがそれぞれ1つランクを上げた。

 旅行・観光産業のGDP寄与額はリーマンショック後の10年から9年連続プラス成長で推移してきた。だが、新型コロナウイルスの影響により20年で途切れる見通し。WTTCは世界経済に与える影響度をリーマンショック時の5倍と見積もっており、旅行・観光産業で7500万人の雇用が失われる可能性を指摘している。

【あわせて】観光GDP寄与額で日本3位