旅行業の倒産・廃業、年間200件超えの情勢 帝国データ調べ あきらめ型も加速

2021.09.20 00:00

 新型コロナウイルス感染症の収束が依然見通せないなか、旅行業者の市場退出ペースが加速している。帝国データバンク(TDB)によると、旅行業者の倒産(負債額1000万円以上)・休廃業・解散は1~8月に136件と20年通年(129件)を上回り、初の年間200件超えも避けられない情勢となってきた。00年以降、重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響で出国者が約2割減少した03年が130件と最多だったが、それを大幅に上回るペースだ。

 旅行業者代理業が74件で約半数を占めた。コロナ禍による移動の制約で売り上げが大きく落ち込むなか、「多くは店舗で集客を行っていたため家賃や人件費負担が追いつかず、倒産を余儀なくされるケースが多くみられた」(TDB)。次いで第1種旅行業の40件。3月に解散した静鉄観光サービスや日通旅行など、コロナ禍前(17~19年平均)と比べ122%増となり、旅行業全体(86%増)を上回った。海外旅行需要消失で経営体力に乏しい中小企業が事業継続を断念する例も増えているようだ。一方で第2種・第3種は22件にとどまった。

 年末に向け行動制限緩和も検討されているが、TDBは「1年以上の忍耐を強いられ需要回復の希望や実感が持てず、あきらめ型の廃業・倒産ペースが速まる可能性が高い」とみている。

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