東商、都の観光振興へロードマップ ワクチン証明の優遇策など3段階で需要回復
2021.07.12 00:00
東京商工会議所はコロナ禍からの復活に向けた東京の観光振興に関する重点要望をまとめ、3つのフェーズごとの重要施策を示した。観光需要回復へのロードマップを明確にし、着実に実行することが求められるとの考えが根底にある。まずは当面の観光需要を担う日本人の消費喚起を促すため、ワクチン接種証明の提示で受けられる優遇措置の導入などを柱に盛り込んだ。感染防止対策で模範的な飲食店や小売店にはインセンティブを与えるなど、攻めの感染対策も求めた。今後、東京都や関係各所に提出し、働きかける。
訪日旅行の本格回復には相当期間を要すると見て、短期的には、感染者数などを考慮したうえで大規模イベントの人数制限緩和や修学旅行の早期正常化、旅行商品に定額の支援を行う都内観光促進事業の速やかな再開を要望した。加えて、将来の訪日客誘致にもつながる文化・芸術のコンテンツ開発や設備投資への支援も求めた。
中期的には段階的な往来再開を見据え、オンラインなどを通じた海外へのプロモーション、GoToトラベル事業など国の施策と連携した旅行消費拡大策のほか、法人需要の取り込みも重点項目に位置付けた。対面とオンラインのハイブリッド型の会議が急速に普及しているため、新たな環境に適応したMICEを開催できる施設環境の整備や専門人材の育成が必要としている。
長期的には、訪日旅行の本格回復に向け、レスポンシブルツーリズム(責任ある観光)の推進を挙げた。経済、社会、環境への影響を考慮する持続可能な観光への取り組みが欧州を中心に進んでいる。住民の観光まちづくりへの積極的な関与や、日本版持続可能な観光ガイドラインに基づく観光振興計画の推進を盛り込んだ。
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