G20、観光産業回復へ7つの政策 国際移動の信頼構築やグリーンな旅行

2021.05.31 00:00

 20カ国・地域(G20)の観光大臣会合が5月4日にオンラインで開かれ、旅行・観光の回復に向けて7つの主要政策分野に連携して取り組むことで合意した。安全な国際移動の信頼構築、グリーントランスフォーメーション、デジタル化などが柱。新型コロナウイルスの世界的流行で20年の国際観光客到着数は前年から73%減少し、約6200万人の観光関連の雇用が失われた。観光は他の分野に与える経済的影響の大きさから世界経済の回復に極めて重要とし、コロナ禍からの回復と中長期的視点の両輪で政策を推進する。

 議論のテーマは、包摂的で強靭かつ持続可能な旅行と観光の回復。観光大臣宣言では「危機こそ将来の観光を再考する機会」と位置づけ、未来を見据えたガイドラインを採択した。

 現状では、国際移動の本格再開に向け、各国や関連団体がワクチン接種証明など方策を模索する動きが続いている。宣言・ガイドラインでは、国際的な移動のイニシアチブを支援し補完・調整することや、共通のアプローチについて合意機会を追求することとした。コロナ禍の経験を踏まえ、将来の危機における観光への影響を最小限に抑えるため、より広範な政策の枠組みの中に観光政策を組み込む。

 中期的な視点では、持続可能性と包摂性が盛り込まれた。観光政策に持続可能性原則と環境目標を採用し、これを主流化することを明記。グリーンな旅行のモデル事例への支援とインセンティブ付与を行う。持続可能な観光への投資や資金調達を促す環境も整える。

 デジタル化では、観光に携わる関係者全員がその恩恵を十分に受けられるようにすることとし、とりわけ中小零細事業者や労働者の環境を整えることとした。

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