EUが施行する新決済認証、宿泊販売の課題は?
2019.08.12 18:38
欧州連合(EU)の第2次決済サービス指令(PSD2)に基づく強力な顧客認証(SCA)が9月から施行される。これに伴い、ほとんどの欧州経済領域内のオンライン決済に9月14日からSCA順守が求められることになる。
ワールドペイの調査によると、カード提示がされない取引(オンライン取引)の詐欺は欧州で発生している詐欺の3分の2を占める。SCAの施行により減少効果が期待されているが、一方で旅行分野のSCA適用には課題がある。
SCAとは、本人のみが知る知識、本人のみが持つ所有物、生体認証のうちの2つ以上を用いた認証を指す。消費者が商品を購入する際、2つの質問に答える必要がある。ほとんどの電子商取引は購入と同時に決済されるが、旅行はそうではない。宿泊客はOTA(オンライン旅行会社)など第三者の予約サイトで予約し、決済は予約したホテルのチェックアウト時に行われる場合が多い。予約時点で第三者の予約サイトが顧客のクレジットカード情報を取得すれば、予約取り消しやノーショーが発生した場合、OTAもしくはホテルがクレジットカード情報で決済する。
ところが、その時点でカード保有者とは接していないため、認証が行えないという問題が発生する。OTAが前受金を徴収する場合も、SCA適用による取引の複雑化などから成約率が低下するリスクもある。また第三者の予約サイトとホテルのどちらが最終的にSCAの責任を負うのかという問題もある。
この記事は米フォーカスライト運営のニュースサイト「フォーカスワイヤー」を基にフォーカスライトの牛場春夫日本代表が執筆したものです。参考記事(英文)はこちら。
「Forget tech – Hoteliers are struggling with the law」
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