パッケージ離れで個人旅行手配に活路 ANA X、TaaSを新たな中核ビジネスに

2024.04.29 00:00

「旅行市場はいま大きな変換期」と語った森田部長

 ANA Xは、旅行者が個札航空券とホテルやアクティビティーなどをまとめてスマートフォンで購入できるシステムを構築した。現在の主力事業は航空券とホテルを組み合わせるダイナミックパッケージだが、サプライヤーの直販戦略によって個別に購入したほうが安くなるケースもあり、ANAウェブサイトの個札販売が数を伸ばす状況が生まれている。個人旅行手配がこの先進むと見て、複数の旅行素材の検索・予約・旅程管理を一元的に行える基盤を整えた。

 TaaSプラットフォームと称し、自社で仕入れる素材と提携企業がAPIで提供する素材を取りそろえる。手始めにアゴダとリクルートのじゃらんと提携し、国内宿泊施設を従来の4倍の約1万2000軒に増やした。ANAサイトで国内航空券を購入する人のうち日帰りや友人・親族訪問を除くと宿泊の購入率は2%。全日空の未就航地や民泊などにラインナップを広げ、3倍に増やす。

 ANA X旅行事業推進部の森田將裕部長は「募集型企画旅行が苦戦する一方で個札が伸び、購買行動が変わった」と話す。同社は22年度にパッケージツアーの店頭販売を止め、ダイナミックパッケージに完全移行した。だが、適用される航空運賃が公示運賃をベースとする変動型になったことやレベニューマネジメントの高度化もあり、かつてのようにパッケージならば安いという価格訴求力は低下している。

 逆にANAサイトの個札販売に需要が集まっている状況を商機と捉え、個別の旅行手配の煩わしさを排除することで需要を摘み取る。順次、レンタカーやアクティビティー、海外旅行商材をプラットフォームに反映し、機能改善も進める。TaaSを将来の中核事業の1つに育てていく方針だ。

【あわせて読みたい】ダイナミックプライスの衝撃、岐路に立つパッケージツアー ダイナミックプライス 国内商品販売の現場の変化は?