24年の航空旅客、最多の47億人に IATA予測 アジアは19年手前の水準

2023.12.18 00:00

 IATA(国際航空運送協会)は24年の航空旅客が全世界で過去最多の約47億人となり、コロナ前の19年を2億人上回ると見通した。貨物輸送を含む総収益も過去最高の9640億ドルとなり、純利益は10.3%増の257億ドルを予想する。ウィリー・ウォルシュ事務総長は、「人々の旅行好きのおかげで航空会社はパンデミック前のレベルに急速に回復した。24年以降は通常の成長パターンに戻ることが期待できる」と述べている。

 しかし、純利益率は2.7%。ほとんどの投資家が受け入れられる数字ではないと指摘する。乗客1人当たりの輸送で航空会社の手元に残るのはわずか5.45ドルしかなく、厳しい規制や高額なインフラコストなど、依然として大きな負担を抱える。原油価格の高騰も続くと見ている。

 運航便数は4010万便となり、19年の3890万便を上回る見通し。座席利用率は23年から0.6ポイント改善して82.6%となり、ほぼ19年と同水準になると予想した。

 エリア別では、アジア太平洋地域が11億ドルの純利益を出し、回復が先行している北米、欧州、中東に続いてようやく黒字に転じると予想した。座席供給量はASK(総座席数×輸送距離)が19年に比べ1.4%減、旅客需要もRPK(有償旅客数×輸送距離)が1.4%減となる見通し。コロナ禍前には届かないものの、ほぼ同水準に回復する。

 22年から好調な実績が続いている北米は旅客需要・供給量がともに19年を8.1%上回り、純利益が144億ドルに達する見通し。欧州は7.0%増・79億ドル、中東は9.9%増・31億ドルを見込む。

 一方、中南米とアフリカは需要・供給量とも増加するものの、引き続き純損失と予測している。