エアージャパン、訪日客に照準 2月にバンコク線 販路は直販に軸

2023.08.14 00:00

強みとする機内食に関し、峯口社長(中央)は「FSCのビジネスクラスにも引けを取らない」と自信

 ANAグループ3つ目の航空ブランドとなるAirJapan(エアージャパン)が24年2月、成田/バンコク線に就航する。座席の前後間隔や傾斜は全日空と同じ快適性を確保する一方、運賃はローコストキャリア(LCC)に近い値ごろ感を持たせた。フルサービスキャリア(FSC)とLCCの良さを融合したハイブリッド型として、全日空とピーチ・アビエーションとのすみ分けを図り、成長領域の海外発需要を摘み取る。

 運賃は、機内食なしのシンプルプラン(片道1万5500円から)、事前座席指定と手荷物預け入れをセットにしたスタンダード(1万9200円から)、機内食も含めたセレクテッド(2万3800円から)の3種類。燃油サーチャージは徴収しない。整備・運航支援、客室サービスを全日空が担い、安全性と安心感を担保する。

 顧客ターゲットとして、峯口秀喜代表取締役社長が真っ先に挙げたのが、タイからの訪日客だ。訪日旅行者数で6番目の規模を誇る親日国。LCCに乗り慣れている層も少なくない。

 強みとする機内食は13種の事前購入メニューをそろえ、弁当文化を取り入れた。丼ものや寿司を箱に詰めて提供する。「乗った時から日本を感じる」(峯口社長)演出で、自治体と連携し地域の魅力を味わえる軽食も用意する。

 ただ、旅行会社との相性は良いとはいえない。航空券購入後の払い戻しや便変更は不可で、ホームページでの直販が基本。現地日系企業やタイ企業と連携して認知度向上に取り組むという。一方、旅行比較サイトとは年内にも接続する計画で、OTA(オンライン旅行会社)での販売も検討する。

 こうしたハイブリッド型は競合の日本航空や韓国系が存在感を発揮しつつある。エアージャパンは25年度までに6機体制に拡充を急ぐ。

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