京都市、持続可能な観光へ施策強化 旅行者が急回復 混雑対策やモラル普及

2023.07.10 00:00

 京都市は、観光需要の本格的な回復が見込まれる23年度の施策の最重要テーマに、市民生活と観光の調和を掲げた。旅行者が集中する観光地の混雑緩和対策などを強化し、京都観光行動基準(京都観光モラル)の普及・実践を通じて、観光に対する市民の共感の輪を広げる。同時に、観光振興がもたらす効果を市の発展につなげる。

 22年の観光客数は4361万人で19年の81.5%まで戻った。修学旅行は74万3000人と19年を5.5%上回り、需要は急速に回復している。

 混雑緩和対策では、外国人観光客のビッグデータも活用し、より精度の高い混雑予想を発信する。手ぶら観光の推進にも力を入れ、手荷物預かり・配送サービスの案内を強化する。観光客が大型の手荷物を市バス車内に持ち込むことで生じる迷惑などを防ぐ。観光バスの路上滞留対策では、乗務員に啓発文を手渡して駐車場の利用を促す。

 京都観光モラルの観光事業者への普及・促進では、京都観光モラル推進宣言事業者登録制度を創設する。ステッカーの掲示やサイトでの情報発信などにより、協力事業者の拡大を図る。

 観光振興で国内旅行では、修学旅行生に体験学習を新たに提供する。23年度は花街文化をテーマに、1~2月に舞踊鑑賞や舞妓との交流を実施する。外国人旅行者には、公式サイトなどを活用して京都観光モラルや観光マナー等の情報発信を強化する。受け入れ環境整備として市の認定通訳ガイドを活用したモデルツアーも造成する。

 MICEの誘致強化にも取り組む。SDGsに役立つ活動を推進する主催者を補助金で支援する。文化庁の京都移転や大阪・関西万博など大型イベントを機に、MICEによる経済効果や宿泊税の増収等を加速させる。