海外旅行の回復、19年の4割水準 JTB推計 訪日客は2100万人台復帰

2023.02.06 00:00

 JTBは23年(1~12月)の旅行動向見通しで、国内旅行者数は前年比8.6%増の2億6600万人で19年とほぼ同水準まで回復するのに対し、海外旅行者数は189.7%増の840万人で19年の4割程度と推計した。訪日外国人旅行者は450.6%増の2110万人に達し、コロナ禍前の7割近くまで戻ると予測する。海外旅行の回復の緩慢さは、世界の物価上昇、円安、燃油サーチャージの高騰に加え、ワクチン接種証明など出入国の制約がまだ続いていることが要因とみている。

 海外旅行の平均消費額は19年比24.3%増の29万4900円で、00年以降の最高額となる見通し。JTB総合研究所の調査によると、海外旅行をする前提条件として「円高が進めば」(27. 1%)、「休みが取れれば」(22.0%)、「旅行先の感染状況が落ち着けば」(21.6%)、「手頃なプランで宿泊施設が取れれば」(21.5%)が上位となった。旅行意欲が高い層は男女ともに20代で、23年中に出かけたいとする割合も高い。

 国内旅行は本格的な回復に向かっているが、第8波の感染者が依然多いことなどからコロナ禍前にはまだ届かない。全国旅行支援の再開もあって旅行意欲はいまのところ高く維持され、海外旅行からのシフトも期待できるものの、物価高に伴う景況感は厳しい状況が続くとみている。平均消費額は19年比5.8%増の4万300円と予測した。

 訪日旅行は22年10月に日本が水際対策を大幅に引き下げて以降、自国からの出国規制の緩和が先行している韓国、タイ、シンガポールなどからの旅行者が増加し、急回復が期待できる。ゼロコロナ対策を転換した中国は7月以降に回復が本格化すると想定した。ただし、今後の動向によって大きく変わる可能性があるとしている。

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