ANA、SAF普及へ企業の参画促進 経済的な価値を訴求 50年CO2ゼロ目指し
2022.08.08 00:00
ANAホールディングス(ANAHD)は50年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロとする中長期環境目標の実現に向け、SAF(持続可能な航空燃料)の活用など航空燃料の低炭素化を推進する。このほど策定した戦略の核に位置付けた。SAFは従来燃料に比べCO2を約80%削減できるが、使用率0.1%とわずかで高コストのため、利用と生産の拡大が急がれている。運航上の改善はもとより、国産SAFの普及やCO2削減プログラムへの企業の参画を促す。
航空交通システムの革新や低燃費機材の導入を進めつつ、SAF必要量の安定確保に努め、30年に消費燃料の10%以上をSAFに置き換える。50年にはほぼ全量を低炭素化する予定で、そのうちSAFは60~70%と見込む。ただ、これらで削減し切れないものもあるとみて、大気中のCO2を除去するネガティブエミッション技術を活用する。
SAFは現在すべて輸入に頼っている。国産の普及に向けて、今春に官民連携協議会がつくられ、ANAは日本航空らと産業横断の有志団体「ACT FOR SKY」を立ち上げた。製造など直接関与する企業やサプライチェーンに必要な企業が加わる。後者はまだ小田急電鉄と日清食品のみで、機内食で取引のある企業などに裾野を広げる。
法人プログラムは8社と契約するが、導入拡大にはCO2削減の社会的価値だけでなく、経済的価値を認めてもらうことが課題だ。欧米では取引条件になりつつあり、意義を訴求していく。
宮田千夏子上席執行役員グループCSO・サステナビリティ推進部長は、「コロナを経て社会は持続可能性を意識している。ESG経営を進めていかなければ、認めてもらえない」とし、戦略実行に意欲を示した。
【あわせて読みたい】国産SAF推進へ有志団体設立 NH・JLなど 航空の脱炭素化へ CO2削減へ航空と旅行会社が協力 出張者向けプログラムなど 代替燃料の普及へ 空港を太陽光発電の一大拠点に 国交省、脱炭素社会実現へ支援措置
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