フランス、責任ある観光へ10の行動案 産業再起へ市民に意見公募

2021.07.26 00:00

 観光先進国の代表格であるフランスはこのほど、より責任ある持続的な観光について取り組むべき課題を国内外の一般市民に公募し、その結果から10の基本アイデアを導き出した。フランス観光開発機構など主要な観光団体が政府機関の支援を受けて実施した試み。結果を検討したうえで、マクロン大統領が今夏のバカンスシーズン明けに発表する観光需要回復計画に反映される見通し。

 インターネットによる今回の調査には、5月10日~6月20日の約1カ月間に約5万人から、合わせて1830の提言と選択式の設問に33万4429件の回答が寄せられた。このうち9割はフランス国内からだが、海外では日本が最も多く1424人を数えた。

 設問に対して多くの賛同を集めた10のアイデアのうち、大気汚染を生じない交通手段の開発では、あらゆる種類の自転車の列車による運搬を容易にするべきという提案が出された。観光地でのゴミ増加対策には、意識改革、監視、ゴミ拾いなどへの取り組み強化のほか、観光事業体が解説付き分別ごみ袋を用意して旅行中に良い習慣を身に付けてもらうといったアイデアも。地域産品の活用促進では、観光客の滞在時にサプライチェーンの短い商品の消費を優遇することが提案された。

 このほか、地域的な偏りのない観光の実現に向けて、まだあまり人が行かない場所に行きたいと思わせる誘導策、幼児期から動植物や環境を大切にすることを教える観光教育も賛同を集めた。

 フランスでも観光産業はコロナ禍で最も深刻な影響を受けた業種の1つだ。再起に向けては、持続可能性や責任などの問題に配慮していることを国内外にアピールすることが重要との考えから、意見公募を実施した。

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