JAL、観光需要獲得へLCCに重点 春秋航空日本を子会社化
2021.05.17 00:00
日本航空(JL)はコロナ禍からの回復に向け、ローコストキャリア(LCC)市場の開拓に本腰を入れる。25年までの中期経営計画の主要戦略の1つに位置付けた。航空需要の構造が変化し、法人需要の回復が遅れる一方、観光や親族・友人訪問は確実な回復と増加を見込む。フルサービスキャリア(FSC)との両輪で成長を目指すため、6月をめどに春秋航空日本を連結子会社化し、100%子会社のジップエア・トーキョー、50%出資のジェットスター・ジャパンの3社体制で低価格帯市場の獲得を推し進める。
JLの21年3月期連結決算は、EBIT(税務・法人所得税引き前損益)が3983億円の赤字となった(前期は888億円の黒字)。会見した赤坂祐二代表取締役社長は「23年には完全復活を目指す」とし、同年にコロナ禍前の1700億円に利益を回復し、25年には約1850億円に引き上げたい考え。FSC は大型機の退役加速や成田/高雄・釜山線運休など路線最適化で収益性を高めるのに対し、LCCはネットワークの拡大で売上高を25年までに19年比で2倍にする。EBITベースで100億円を稼ぎ出す計画だ。
ジップエアをアジア・米西海岸、ハワイなど中長距離線に投じる。春秋航空日本は中国路線に特化し、人口1000万人超の未就航都市の開拓で訪日需要を摘み取る。ジェットスター・ジャパンは国内線を主力としつつ、夜間駐機機材で近距離国際線も展開する。
コロナ禍で多くが運休・減便中の国際線は需要に応じて段階的に再開していくことになる。ワクチン接種が進まない日本では今後を見通しづらいが、赤坂社長は「欧米の状況を見ると、需要は確実にしかもどっと戻ってくる。その準備をしておかないと」と話した。
【あわせて読みたい】ANA、非航空収入倍増の4000億円へ ANAHD、旅行事業改革に大なた
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
キーワード#JAL#新着記事
週刊トラベルジャーナル最新号
アクセスランキング
Ranking
-
築地場外市場にスマートごみ箱 ポイ捨てなど課題に対処
-
観光庁予算、旅客税財源の比率83%に上昇 コンテンツ強化、ICT、DMOに注力
-
観光収入、日本は伸び率上位 59%増で米仏など大国しのぐ
-
主要7空港の外国人入国者数、那覇もようやく19年超え 9月実績 韓国3.7倍で
-
今治に地域創生のヒント クールジャパンDXサミットで岡田武史氏が披露
-
文化観光の計画認定、旧醤油工場も たつの市など4件 制度開始から計57件に
-
未体験の訪日市場出現の中で ひがし北海道DMOがシンポジウム
-
小樽市、ファンコミュニティー開設でリピーター育成 新たな魅力発掘も
-
中部空港、訪日誘客に主体的関与 地域ブランド共創室を設置
-
検索エンジンのフォルシア、東証に新規上場 ハイブリッド型サービスへ進化描く