日中平和観光、8月末で事業停止 57年の歴史に終止符 日新航空が業務承継
2021.05.03 00:00
国際物流大手の日新の連結子会社である日中平和観光は8月末で事業を停止する。1964年の創業以来、中国旅行を専門に扱う老舗旅行会社として展開してきたが、昨今の事業環境の急激な変化に伴い業績が悪化。回復時期が見通せないなか、グループ体制見直しの一環として決断に至った。
日新によると、「いまだにワクチン接種や治療薬が進まないなか、日中専業だと厳しい」と判断し、4月21日に開催した取締役会で決議した。日中平和観光に在籍する約60人の社員は日新本体に転籍し、物流分野に配置される予定。同社は清算せず休眠する。取り扱っていた業務は同じく連結子会社の日新航空サービスが引き受け、8月までに顧客情報などの引き継ぎを進める。
日中平和観光の20年3月期(19年4月~20年3月)の売上高は32億9146万円で、営業赤字3791万7000円を計上した。純損益も4097万7000円の赤字だった。新型コロナウイルスの影響が本格化する前の段階だが、日新が昨年5月に発表した決算短信における旅行事業の説明によると、第4四半期(20年1~3月)の渡航自粛の動きが収益を押し下げたとする。
新型コロナウイルスは中国から世界各地に広がったため、日中平和観光では、昨年2月の段階で観光旅行・業務渡航ともに軒並みキャンセルが発生。コロナ禍の当初から多大な影響を被っていたとみられる。
新型コロナウイルスの感染拡大で渡航制限が続くなか、旅行業者の売り上げは急減し、企業体力が著しく消耗している。日本通運の子会社で海外パッケージツアーの先駆けとして知られる日通旅行も3月末で営業を終了するなど、事業を停止する老舗旅行会社は増えている。
【あわせて読みたい】日通旅行、65年の歴史に幕
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