20年冬期日本発航空座席数、9万6000席とわずかに回復

2021.02.15 00:00

便数の回復の兆しが見られつつも、依然として閑散とする羽田空港

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、一進一退を繰り返しながら、出口が見えない状況が続いている。一時は海外との往来規制が徐々に緩和され、これに呼応して日本発の国際線定期旅客便の運航もわずかながら回復傾向が見られた。ただし、現在は緊急事態宣言の再発出や防疫強化で再び厳しい状況となっている。

 本誌が昨年11月に実施した20年冬期日本発航空座席調査で、定期旅客便の週間提供座席数は9万5988席となった。これはコロナ禍の影響を受けていない前年同期の1割にも満たないものの、20年夏期調査と比べると2倍以上となった。今調査対象期間後も、わずかずつではあるが就航路線・便数は増加傾向にあり、同時点においては、一応の底は打ったと見ることもできそうだ。

 ただし、本調査による座席数は、運航便数と機材を調べ当該機材の標準的な座席数を基にカウントしているが、コロナ禍における運航では、ソーシャルディスタンスを確保するなどの目的から座席間隔を空けているため、実際に提供されている(旅客が搭乗できる)座席数は、調査結果よりかなり少ないことが想定される。

 乗り入れ航空会社数は50社となった。近年の調査では100社近くに達していたため、その約半数で日本発の定期便が運航されていることになる。しかし、このコロナ禍では多くの国・地域の航空会社が経営破綻に追い込まれたり、日本市場からの撤退を余儀なくされたケースが少なくない。日系企業でもエアアジア・ジャパン(DJ)が全便運休の後に12月5日付で事業廃止となった。一方でZIPAIR Tokyo(ジップエア・トーキョー、ZG)は当初、貨物専用便での事業スタートを強いられていたものの、10月16日から成田/ソウル(仁川)線で、念願の旅客便の運航開始にこぎ着けた。

 なお、国際定期旅客便の運休や減便はフルサービスキャリアよりローコストキャリア(LCC)で顕著だが、20年夏期調査時に比べると、LCC もわずかに事業規模に回復の兆しが見られる。今冬期調査では9社5953席で、前年同期比2.2%、シェア6.2%となった。夏期調査時では5社1302席で、前年同期比0.4%、シェア3.1%だった。

 路線別では、トップが太平洋線、2位がアジア線、3位が欧州(ノンストップ)線で、20年夏期調査時と変わらず。以下、中国線、中東・アフリカ線、韓国線と続く。依然として中国線、韓国線の回復に時間がかかっている一方で、中東・アフリカ線の健闘が目立つ結果となった。また、ハワイ線とロシア線の運航が新たに再開された。

 空港別では、ようやく中部空港でも定期便の運航が再開され、成田、羽田、関西、福岡と合わせた計5空港で国際定期便の運航が見られるようになったが、観光需要が中心となっていた新千歳や那覇など地方空港では運航再開への具体的な動きは進んでいない。

 航空会社別では、日本航空(JL)が15年夏期以来の1位となり、全日空(NH)は僅差ながら2位となった。両社は1万席以上を提供しており、3位のユナイテッド航空(UA)が20年夏期の4位から1つ順位を上げたものの約4000席にとどまり、上位2社との差は大きい。以下、4位にはフィリピン航空(PR)、5位にはシンガポール航空(SQ)がランクインした。

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