添乗員苦境、業界離脱で人手不足 GoTo時の配置に苦慮も

2021.01.25 00:00

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた添乗業務の減少により、先行きの見えない厳しい生活を強いられている添乗員は多い。日本添乗サービス協会(TCSA)によると、業界を離れる人が出てきているという。昨年7月からのGoToトラベル事業で国内ツアーが動き出すなか、一時的に添乗員不足が発生していたこともわかった。

 GoToトラベルの主な利用者は個人旅行で、添乗員を必要とする団体旅行が例年に比べ減少しているにもかかわらず、添乗員の配置に苦慮した会員会社があった。土・日曜や祝日にツアーが集中したことに加え、添乗員の業界離れが影響した。業界にとどまっていても、海外添乗を専門に行ってきた場合、国内添乗を望まないケースもあるという。とはいえ、海外添乗は消滅している状況だ。TCSAは「海外添乗専従者を国内添乗に配置転換する動きも進んでいる」と話す。

 TCSAはコロナ渦中での会員各社の対応や添乗員の実態を把握するため、11月にヒアリング調査を実施した。本格的な業務再開に備えた生活を送る添乗員が対象。それによると、休業支援金の活用や他職種でアルバイトをしながらしのいでいる実態が浮かび上がった。他業種に転職をしない理由に「次から次に学ぶことがある」「1つのツアーをつくり上げた時の達成感」などを挙げており、仕事に対するモチベーションの高さがうかがえる。

 国内添乗業務が動き出したのは、GoToトラベル事業で東京を出発・目的地とする旅行が対象になったことが大きい。添乗派遣業界は旅行会社が添乗員同行ツアーを造成して初めて成り立つ。TCSAは、「感染予防に最大限配慮しつつ、今後も継続してほしい」と期待を寄せている。

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