新型肺炎理由の出張中止54% GBTA調査で損失見込み85兆円

2020.03.16 00:00

 GBTA(グローバル・ビジネストラベル・アソシエーション)が全世界の加盟企業を対象に3月4~6日に実施した調査で、新型肺炎を理由にすべての海外出張を中止した企業は2割を占めた。「ほとんど中止」を加えると4割に上り、国内出張を含めると54%がほぼ全面的に中止に至ったことがわかった。前回調査の2月24日から10日間で割合が上昇しており、世界的な感染の拡大とともに手控えが急速に広がっている。中止による20年の損失額は計8207億ドル(約85兆円)と推計した。

 GBTAは企業のトラベルマネジャーや調達担当、出張手配を包括的に行うトラベルマネジメントカンパニー、サプライヤーなど、世界9000社以上が加盟する。調査は1095社から回答を得た。

 中止方面は中国が95%と最も多く、ほぼ消滅している状況。香港が87%、感染者が少ない台湾でも79%を占めた。日本や韓国を含むその他アジアは77%で、アジア全域でビジネスでの往来が激減している。イタリアで感染が急増している欧州は51%。北米は最も少なく18%だった。

 見込まれる損失額は中国が4041億ドルと最多。その他アジアは、中止の割合が香港・台湾より低いものの、1202億ドルと多い。ヨーロッパも1905億ドルに上る見通しだ。GBTA加盟社が扱う年間出張費は計3450億ドルで、損失の大きさがわかる。

 出張の再開見通しについては、「わからない」との回答が最多の45%を占め、先行きの不透明感が色濃く表れた。一方で3カ月後とする回答も43%あり、半年後は11%だった。

 企業は出張規則の見直しを行っている。55%が新たな承認プロセスを定め、62%が安全規則を変更した。