グーグル予約が変えるタビナカ 日本でも始まった新事業のインパクト

2020.01.27 00:00

グーグルが、他サイトへの遷移なしにレストランや観光施設などの予約を行える「Reserve with Google(日本語名:グーグルで予約)」を日本でもスタートし、参画企業と対象分野を広げつつある。グーグルの取り組みは日本のタビナカをどう変えるのか。

 消費者が何かのサービス提供を受けたい場合、インターネット上の行動はこうだ。まずは検索サイトで望むサービスを提供しているサイトや連絡先を見つける。次にそのサイトにアクセスするか、電話やメールで連絡して目的を達する。これまでは、こうした2段階の作業を経るのが一般的だった。ところが、「グーグルで予約」機能では、グーグルやグーグルマップ上で検索をしたら、あらためてお目当てのサイトに移動することなく、検索結果のページからそのままサービスを予約したり購入したりできる。いわば従来の作業の半分の手間で目的を達することができるわけだ。

 グーグル予約は17年に米国で機能提供が始まった。当初は美容室やジムからスタートし、レストラン、旅行中の観光施設、体験アクティビティーの予約などに対象分野を広げている。日本にも上陸済みで、飲食店予約を手掛けるぐるなびは18年10月から、飲食店予約支援のトレタは19年3月から参画した。国内の観光関連施設チケットや遊び・体験プログラムを手掛けるアソビューも19年10月から観光施設チケットの販売で参画している。

 グーグルの日本語ホームページを見ると、パートナー企業は1月16日現在で97社。近日対応予定の企業も55社ある。パートナーの中には、外資系観光関連企業として日本でもサービス展開している米トリップアドバイザーやオランダのチケッツ(Tiqets)が名を連ね、実際に国内施設の予約・決済に対応している。グーグル予約は水面下で想像以上に広がっていることになる。

 仕組みはこうだ。グーグル上で施設名などをキーワード検索すると、概要付近に「チケットを購入」のバーが現れる。そこをクリックすると、利用日や人数等の選択タブとともに予約サービスを提供するパートナー企業名が記され、ユーザーは企業サイトに遷移せずにそのまま条件を選んで予約・購入に進む仕組みだ。

 企業にとってグーグル予約は魅力的であることは間違いない。この機能を利用した予約が発生しても、グーグル側に対価として手数料等を支払う必要はないからだ。一方で最大手検索サイトであるグーグルや膨大な利用者数を誇るグーグルマップから直接、集客の導線を引けるメリットは相当に大きいことは容易に想像できる。

 また、ユーザーにとっても、前述のように手間を省いて予約やチケット購入ができるメリットがある。ただし、ユーザーは利用に際してグーグルアカウントへの登録を求められる仕組みだ。

間口拡大にメリット

 日本企業としていち早く参画したぐるなびは、その理由として、予約の間口を広げられることを挙げる。それによって加盟する飲食店への送客を増やすと同時に、ユーザーの利便性の向上を図る狙いだ。同社ではグーグル予約への参画発表に先んじて、インスタグラムの「アクションボタン」機能に対してレストラン予約システムを提供することも発表。インスタグラム上で見つけたレストランやカフェの予約をアプリを閉じずに完結できる仕組みを構築した。このようにグーグルやインスタグラムの新機能を積極的に活用することで、予約の間口を積極的に広げている。

 ぐるなびやトレタといった飲食店予約サービス事業者にとっては、ユーザーのグーグルアカウント登録が必要なだけに、無断キャンセルに抑制が効く仕組みともいえる。つまり、予約の間口を拡大しても、キャンセル増大という弊害にはつながらない一定の安心感もある。

【続きは週刊トラベルジャーナル20年1月27日号で】

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