JAL・ANA、ランプ作業の社内資格を相互承認 人手不足対応で協力

2023.12.04 00:00

航空需要の回復に伴い、地上業務を担う人材の不足が以前にも増して顕著になっている

 日本航空(JAL)と全日空(ANA)は持続可能な空港ハンドリングサービスの提供に向け、両社の競争は維持しつつ、会社の垣根を越えた連携と協力を深めていく。その一環として24年4月から、両社が地方空港で同じ事業者にランプハンドリング業務を委託している場合、それぞれが設けている作業資格を相互に承認する。

 ランプハンドリングは航空機の誘導や手荷物の搭降載・運搬など、運航を地上で支える業務。作業資格はサービス水準維持などの目的から個別に定められている。同じ作業内容でも会社ごとの資格取得が求められ、そのための訓練を行う必要がある。恒常的な人手不足のなか、課題と目されていた。

 作業資格をJALとANAが相互に承認し、どちらかの会社の訓練を修了し資格を取得していれば、両社の作業に従事できるようにする。両社の便をハンドリングする事業者は訓練に必要な日数を削減でき、繁忙の緩和につながる。

 例えば1社の資格取得に1年かかるなら、両社の作業ができるまでに2年を要するが、これが1年で済むことになり、訓練期間が大幅に短縮できる。

 国土交通省は6月に「空港業務の持続的発展に向けたビジョン」を公表し、系列ごとに異なる資格に関する業界ルールの整備など、関係者の連携を指摘した。折しも、地上業務大手スイスポートジャパンの労働組合は11月、時間外労働を行わないと会社側に通告。協議の末、運航への支障は回避されたが、人材不足に起因する問題は深刻だ。

 JAL・ANAはこの取り組みを皮切りに、グランドハンドリング分野で航空業界全体の生産性向上に役立つ業務の標準化やシステム・端末の共有化のさらなる推進、施設の共有化、人財の適正配置などで協力していく。

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