人工知能、DMOの活動に影響 米調査 コンテンツ作成や分析への活用予測

2023.12.04 00:00

 世界の約300のDMOらを対象に実施した米国の調査で、AI(人工知能)が今後のデスティネーションマーケティングに影響を及ぼす可能性が明らかになった。チャットGPTなど生成AIの登場で誰もが簡単に利用できるようになり、活用の領域が広がっている。DMOの事業戦略の面では、環境の持続可能性や社会的多様性への適応が進む傾向が見て取れる。

 調査は観光産業のデジタルマーケティングを手掛ける米ソジャーンとデジタルツーリズムシンクタンクが共同で実施。ブランドUSA、カナダ観光局、欧州旅行委員会(ETC)が協力した。

 AIが影響を及ぼす領域はさまざまだが、特にコンテンツ作成は約半数の49%が大きく影響すると回答した。予測分析(40%)、データ分析(38%)、マーケティングコンテンツのパーソナライゼーション(37%)も比較的高い。

 一方、メディア制作やキャンペーンの制作に関しては影響が比較的少ないと予測する。しかし、DMOの71%はAIの活用に現在あまり自信がないと回答しており、使いこなせるだけの知識がまだ備わっていないようだ。

 DMOの目下の事業戦略では、42%が男女平等、35%が性的指向、34%が社会的・経済的多様性の促進を重要視している。ただ、多様性への施策は国によって違いが見られた。

 米国とカナダはDMOの50%超が人種や民俗の多様性を尊重することが優先事項としているのに対し、欧州は23%。先住民の文化やコミュニティーの尊重ではカナダが71%と極めて高かった。一方、アクセシビリティーへの取り組みは欧州が45%に上るが、カナダはわずか12%。

 これらの状況を踏まえ、調査報告はDMOの戦略を見直す余地があると助言している。