旅費高騰、出張や修学旅行に打撃 規定と実勢価格に乖離 国家公務員は法改正へ
2023.07.17 00:00
急激な物価上昇などに伴う海外旅行費用の高騰が、出張や修学旅行の足かせになっている。旅費の上限規定と実勢価格の乖離が大きく、規定内に収まらないケースが生じているためだ。対策として、規定の改定を模索する動きが出てきた。
財務省は国家公務員の出張旅費に関する基準を定めた旅費法を見直し、宿泊費を引き上げる。現状では、ニューヨークやロンドンへ出張する場合、課長補佐級で1泊当たり1万9300円と規定されている。しかし、実費額がこれを超過する事例が増えているという。
超過した場合は財務省と協議することで実費支給が可能だが、立て替えが負担となったり、書類提出など手続きの煩雑を嫌い自腹を切るケースも少なくないという。今秋に改正の方針をまとめ、24年の通常国会で旅費法改正案の提出を目指す。
実勢価格との乖離の問題は、公立校の修学旅行にも当てはまる。JATA(日本旅行業協会)海外教育旅行部会の福田叙久部会長(ATI相談役)は「自治体が設ける上限ととても合わず、検討するうえでネックになる」と懸念する。
日本修学旅行協会の高野満博事務局長は「これまで通りには実施できない」と指摘する。食事を費用に含めないことや、燃油費などがより安い近場に行き先を変更するなどの対応が考え得るとしつつ、「それでも価格の上昇率が高く追い付かないのが現状」という。
JATAは費用規定緩和の提言を視野に入れ、現在、各都道府県関係者にヒアリングを進めている。
問題は国内にも及ぶ。訪日客の急回復に伴い宿泊料金が高騰しているためで、一休は「日本人向けの在庫が少ない。出張費で泊まることが難しくなっている」などとしている。
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