ニセコ町、宿泊税導入を推進 2%の定率制 域内交通整備などに充当

2023.03.13 00:00

 北海道ニセコ町は、観光地としての魅力的な地域づくりに充てる新たな財源として、宿泊税を導入する方針を固めた。23年度中にも関連の条例案を町議会に提案するものとみられる。道内で唯一、宿泊税を導入している隣接の倶知安町と同様に、宿泊料の2%の定率制とする考え。入込客数がコロナ禍以前と同水準まで回復すれば、年間2億円程度の税収が見込めると推計している。道内ではこのほか小樽市でも宿泊税導入への動きが進んでいる。

 ニセコには良質な雪を求めて国内外から多くのスキー客が訪れる。一方で、持続可能な観光地としての振興を図るためには、地域内交通の整備やオーバーツーリズム対策など取り組むべき課題も多い。この解決を図るため、補助金や助成制度に頼るばかりでは限界があるとして、宿泊税の導入により恒常的な自主財源を確保する。

 使途として想定するのは、地域内交通の充実に45%、宿泊事業者の地球環境負荷の低減に20%、観光案内DX の推進とDMC強化推進に15%など。現在、最大の懸念は、観光客の滞在時のホテルとスキー場などを広域的につなぐ移動手段が脆弱であること。これを解消して利便性を確保するとともに、各宿泊施設の送迎等の負担軽減を図る。地球環境の負荷低減では、宿泊事業者による省エネルギーや再生可能エネルギー導入といった取り組みを支援する。

 ニセコ町の宿泊税に関する本格的な調査検討は17年度に開始した。しかし、連携していた倶知安町が先行して19年11月から導入するなか、コロナ禍により検討は事実上凍結。その後、感染拡大が落ち着きを見せ始めたことを機に取り組みを再開していた。

 宿泊税は国内8自治体が導入済みで、4月に長崎市が予定している。

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