観光財源確保へ新税導入の動き 長崎・宮古島は宿泊税 廿日市は宮島訪問税

2022.07.18 00:00

 新型コロナウイルス感染拡大が早期に沈静化して旅行需要が高まることが期待されるなか、受け入れ環境整備や誘致促進を図るための財源確保へ、自治体が法定外税を新設する動きが見られる。長崎県長崎市と沖縄県宮古島市は宿泊税の導入を予定。広島県廿日市市では宮島訪問税を新設して安定的で持続的な資金を確保する。背景には、人口減少や高齢化の影響により、自治体の税収の減少が懸念されていることもある。

 長崎市は宿泊税を23年4月から導入する。総務省の同意を得て正式決定した。市内のホテル・旅館等(民泊含む)の宿泊客から1人1泊につき宿泊料金が1万円未満なら100円、1万円以上2万円未満なら200円、2万円以上なら500円を徴収する。修学旅行や学校行事に関連した宿泊は免除する。税収は初年度で約4億円、平年度で4.4億円を見込む。観光振興の施策に充て、国内外からの来訪と交流を促進する。

 宿泊税は02年10月からの東京都を皮切りに各地で導入が進み、長崎市は9自治体目。さらに宮古島市が24年度からの宿泊税導入へ準備を進めている。

 広島県廿日市市は宮島訪問税を23年10月をめどに導入する予定(総務省の同意済み)。世界遺産の厳島神社を擁する宮島を国際観光地としての受け入れ環境整備等に充てる。客船等での訪問で1人1回100円を徴収、1年分をまとめて納付する場合は1人1年ごとに500円。宮島の住民や勤務・通学等での来島者は対象外。税収は初年度約2億円、平年度約3億円を見込む。

 入域者から税を徴収し、環境保全や観光施設整備に充てる先例では、沖縄県座間味村の美ら島税、伊是名村・伊平屋村・渡嘉敷村の環境協力税がある。

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