<PR>新生スペーシア Xで日光へ! 東武鉄道の特急車両開発の物語

2023.03.06 00:00

東武鉄道の新型特急車両「SPACIA X(スペーシアエックス)」が7月15日にデビューする。江戸の伝統工芸意匠を取り入れたエクステリア、車両ごとに趣が変わるインテリアなど、デザインだけでも異彩を放つが、そこには新時代の日光観光の象徴となるよう開発に挑んだ東武鉄道の思いが込められている。

 日光・鬼怒川エリアと浅草・スカイツリーを結ぶ東武日光線。金谷ホテルの開業を機にリゾート避暑地として発展した日光に観光客を運ぶために列車も進化してきた。日光線が開業した1929年に貴賓展望車が登場して以来、デラックスロマンスカーやスペーシアなど時代ごとに最先端車両が導入された。沿線には鬼怒川温泉もあり、スカイツリーができてからは日光東照宮五重塔との共通点なども注目された。いま、令和の時代になり、新たな日光観光の顔となる最上級フラッグシップ゚特急をつくるプロジェクトがスタートした。

 車両づくりのテーマは沿線最大の観光地「日光」だ。車両のコンセプトづくりを担当した車両部車両企画課の岡田敏英氏は「日光へ行くならこれで、と思ってもらえるように、これまでの特急の伝統をつなぎながら、電車の内外に組子や籠目の伝統文様など江戸や日光の文化要素を取り入れ、日光東照宮のような色彩豊かで゙堂々とした車両をイメージしました」と説明する。車両ごとに異なるデザインを施すことで現代社会を象徴する多様性についても表現した。「今回は3号車に乗ったけど、次は2号車に乗りたい」と思えるような、乗るたびに新しい発見ができる電車を目指したという。

 これまでの系譜を継ぐ、新たなフラッグシップ車両をどうデザインするか。日立製作所の研究開発グループで鉄道車両のプロダクトデザインを担当する主任デザイナーの髙田裕一郎氏は、末永く輝き続けるためにストーリーが必要と考え、そのヒントを日光東照宮に見つけた。「日光は日光東照宮の本殿や陽明門など建物の随所にちりばめられた遊び心のある街。そして江戸時代から庶民が集う娯楽の街・浅草。その2カ所をつなぐ゙特急なので、テーマは江戸文化、そして江戸の遊び心にしました」 

 江戸の伝統工芸からヒントを得た遊び心のある意匠は車内外の随所に施された。エクステリアは現行の100系を踏襲しながらも、運転席のある1号車と6号車には鹿沼組子をモダンにアレンジした大きな六角形の窓を大胆に配置。車体は日光東照宮の唐門や陽明門の柱の胡粉(ごふん)塗りをイメージした高貴な白色で塗装。ハイビーム点灯時にTの字が浮かぶしゃれっ気も盛り込んだ。車内の空間演出も江戸文化に倣った。明るく真っ白なデッキ空間に対し、トイレの壁は真っ黒と世界観が一転。車両間のドアも金色と黒を大胆に組み合わせた。デッキの天井の映像や香り、壁を暗めの色にすることで窓越しの景色を借景のように浮かび上がらせる仕掛けなど、遊び心を詰め込んでいる。

 車両ごとに趣が変わるのも大きな特徴だ。1号車は日光金谷ホテルや大使館別荘をモチーフに気品ある空間としたコックピットラウンジ。4人、2人、1人掛けのソファ席があり、1人掛けの2席は最前列で大きな前面ガラス窓からの展望を楽しめる特等席となっている。6号車は7人まで利用できる“走るスイートルーム”をイメージしたコックピットスイートと、スペーシア伝統のコンパートメント4部屋を備えている個室のみの号車。2号車はプレミアムシート、3両あるスタンダードシート車両のうち5号車にはプライベート空間を確保できるボックスシートも設置。全6両に6種類の多彩なシートバリエーションがあり、家族や友人との旅行、ひとり旅など、旅のスタイルやそれぞれのシーンに合わせて選べる。

新しい旅の形を

 東京から2時間弱の移動時間に加え、日光気分を味わえるサービスにもこだわる。日光や沿線のものづくりに熱い思いを抱く事業者とともに車内限定商品を開発し、1号車のカフェカウンターでNikko Brewingによるクラフトビール、日光珈琲のクラフトコーヒーなどそれぞれスペーシアXオリジナルを提供。アペタイザーやスイーツも日光にゆかりがあるものを用意。カフェの販売員は日光の観光情報も提供する旅のコンシェルジュでもあり、日光の話に花が咲きそうだ。

 次世代に向けて走る車両として環境にも配慮。モーターの性能向上で現行スペーシアよりCO2排出量を最大40%削減し、運行時に使用する電力を非化石証書でオフセットするサステナブル特急となっている。

車両部の岡田氏(左)と営業部の原氏

 営業部営業企画推進課主任の原希和子氏は話す。「スペーシアXの運行を契機に、日光の奥深く多様な魅力と旅行する一人一人をつなぎ、新しい旅行の形や自分だけの日光を発見していただきたい。そのきっかけをスペーシアXが提供できたら素敵だと思います。さまざまな座席も体験していただきたいです」

 徳川家康の遺言により八州(関東)の鎮守として建てられた日光東照宮はいまも八州を見守る。その沿線を結び、日光と出会う新しい旅に、新しいスペーシアXが走り出す。

●こだわりのポイント

車両エクステリアデザイン

 運転席のある1号車と6号車に江戸文化の鹿沼組子や竹編み細工を意匠として取り入れ、車体色には日光東照宮由来の胡粉をイメージした白色を塗装し、伝統と革新を表現。運転席周辺の丸みを帯びた形状、全体的なフォルムは現行スペーシアのフォルムを引き継いだ。

コックピットラウンジ 

 1号車は日本最古のリゾートホテル日光金谷ホテルや大使館別荘をモチーフにしたラウンジスペース。4人、2人、1人掛けのソファ席があり、さまざまな旅のスタイルに対応。カフェカウンターが併設され、日光のクラフトビールやクラフトコーヒーを提供する。

コックピットスイート

 6号車は走るスイートルームがコンセプトのスペーシアXの最上位シート。11m²と私鉄特急最大の広さで、前方と側面の大きい窓からの展望も抜群。照明に陽明門の柱にある渦巻き文様のグリ紋を施すなど細部にもこだわる。ソファは自由にレイアウトができ、7人まで利用可能。

コンパートメント

 6号車に設けられた定員4人の個室。コの字型にソファを配置して居住性を高め、テーブルは折りたたみ式の可変テーブルでワイドに。壁には限られた色で染め分けをした江戸時代の四十八茶百鼠にちなんだ赤と茶色を使い、床には青いじゅうたんを配置。

プレミアムシート

 2号車のプレミアムシートは四十八茶百鼠配色+日本の伝統色から金茶色をアクセントにしたシートを2+1列配置。シートピッチは120cmと従来より広く、後部座席を気にせず倒せるバックシェル式電動リクライニング、可動式枕、大きめのインアームテーブル、読書灯が備わった。

ボックスシート

 5号車に備わる2組限定の半個室。向かい合う2シートをパーティションで仕切ってプライベート空間を作り出している。シートの横幅は約80cmとゆとりがあるので小さな子供と一緒に座ることもでき、車窓を堪能しながらのテレワーク空間としても使える。

スタンダードシート

 3・4・5号車がスタンダードシートで、2列+2列の横4列配置。シートピッチは従来のスペーシアと同じ110cm。座席の背面テーブルのほか、肘掛け脇に鹿沼組子デザインが施された小テーブル、コンセントも備わる。窓はシート1列に1つの個窓で居住性をアップした。

スペーシアX特設サイト https://www.tobu.co.jp/spaciax/

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