旅行・観光開発指数で日本1位 インフラや資源に高評価 政策面は60位
2022.06.06 00:00

世界経済フォーラム(WEF)がまとめた21年の旅行・観光開発指数で日本が初の1位となった。隔年で行う同調査はこれまで旅行・観光競争力を評価してきたが、コロナ禍を経て指標を見直し、持続可能性などにより重きを置いて世界117カ国・地域をランク付けした。日本は競争力で15年9位、17・19年4位と順位を上げ、新たな指標に基づき再算定すると前回調査の19年は2位。観光客の受け入れ基盤や自然・文化資源が高く評価され、欧米の観光先進国を抑えて首位に立った。
2位は米国で、スペイン、フランス、ドイツと続いた。上位10カ国中6カ国を欧州が占め、アジア太平洋は豪州が7位、シンガポールが9位にランクインした。調査は事業者・市場を取り巻く環境、観光政策と実現条件、インフラ、需要促進要素、サステナビリティーの5領域とそれらを細分化した17項目112指標で測る。環境維持に関する項目が今回から領域に格上げされた。
日本の評価を領域別に見ると、インフラと需要促進要素が3位。充実した航空・鉄道網などアクセス面の評価が高い。宿泊はホテル客室数だけでなく、短期賃貸物件数が調査項目に追加され、ここ数年のバケーションレンタルの台頭ぶりがわかる。需要促進要素では、自然・文化資源のほか、非観光資源も高評価を得た。
サステナビリティーは11位。貧困や男女格差など社会強靭性に比べ、観光が及ぼすインパクトの評価が低かった。オーバーツーリズムや観光の質が問われており、インバウンドの繁閑差は6位、滞在日数は43位だった。
一方、観光政策とその実現条件は60位に沈んだ。国際的な開放性が39位と上位国の中で低さが目立った。
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