国内で事業拡大の矢先に…ミキツー不正受給で社長解任、地域振興は撤退へ
2021.12.25 14:30
ミキ・ツーリストがホテル運営会社JHAT(ジェイハット)と組んでGoToトラベルの給付金を不正に受け取ったとして、親会社のエイチ・アイ・エス(HIS)はミキの檀原徹典代表取締役社長を解任する方針を明らかにした。HISから新たな社長を送り込み、業務を継続しつつ信頼回復と再生を図る。ミキとHISの海外拠点を融合し、「新生ミキ」をつくるという。
ミキの不正発覚は、国内で事業領域を拡大している矢先の出来事となった。欧州を中心に業界大手のツアーオペレーターとして現地発着ツアー「みゅう」や地上手配を手がけてきたが、4年前に地域づくり支援事業部を発足。海外拠点網を生かして日本各地の魅力を海外に発信し、外国人旅行者向けのマーケティングやプログラムの企画、販売支援などを展開。昨年には「みゅうJapan」の販売を開始した。
特に力を入れていたのが地域活性化事業だ。檀原社長にゆかりのある鳥取県八頭町に営業所を開設し、自身がほぼ常駐で陣頭指揮を取り、キャンプ場「八東ふる里の森」の運営や県内の観光素材を生かした地域振興に取り組んできた。鳥取環境大学とも連携するなど、地元との関係をつくり上げていた。檀原社長は「八頭モデルとして他の地域にも横展開していきたい」と意欲を示していた。
HISは八頭町での事業を檀原社長の個人的な強い思い入れとして、事業からの撤退を検討する考えを示した。HISの調査委員会によると、GoToトラベルの給付金としてJHATからミキが受け取った地域共通クーポン相当額はミキが施設の備品購入に当てており、テント一式や移動式サウナ、アウトドア用品などが含まれていた。
HIS澤田会長「影響大きくない」
HISは17年にミキの持ち株会社であるグループ・ミキ・ホールディングスの株式70.3%を保有して子会社化した。18年には日本旅行と阪急交通社が一部株式を取得するなど、大手ツアーオペレーターとして海外・国内のさまざまな旅行事業者と取引関係がある。
不正受給を受けた影響の広がりが懸念されるが、HISの澤田秀雄代表取締役兼社長は12月24日の会見でこれを否定。「いま海外旅行事業はストップしており、将来再開しても、HISは海外に支店があるのでそれほど影響はない」とし、「他の旅行会社も出先はたくさんあるので大きな影響はないのではないか」と述べた。
【あわせて読みたい】GoTo不正受給、ミキツーとJHATが組織的計画 HIS澤田会長「本体は一切関与なし」 国内旅行に新風 海外旅行事業者の目利きとオペレーション
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