シニアの国内旅行意欲が復活 JTB総研調査、海外旅行の世代交代も

2021.03.01 00:00

 JTB総合研究所がまとめた新型コロナウイルス感染拡大による旅行意識調査によると、シニア層の国内旅行意欲が復活しつつあるようだ。20代の若年層の旅行実施率と意欲も引き続き高い傾向に変わりはない。一方、海外旅行については、20代と30代は21年の実施意向が比較的高いが、40代以上は22年以降に先送りしている傾向がみられる。

 調査は20年2月から21年1月までに計7回実施。20歳以上の男女に行った予備調査で旅行を予定・検討していると答えた約1000人を対象とした。昨年10~12月の女性60歳以上の国内旅行実施率は24.1%となり、7~ 9月に比べ7.2ポイントも上昇した。全年代の中で最も伸び率が高く、平均の25.0%に匹敵するまでに回復している。JTB総研はこの要因について、60歳以上の多くが定年退職を迎え、コロナによる所得減の影響をあまり受けていないことなどを挙げた。

 また、女性20代の36.3%を筆頭に、男性20代が30.0%、女性30代が26.4%と、若年層が国内旅行市場を牽引していることがわかる。特に女性20代は7~9月時に比べて4.4ポイント上昇した。

 海外旅行については、21年に予定・検討している人は全体で7.5%、22年でも11.5%にとどまる。さらに今後はしないと考える人は男性60歳以上で12.9%、女性60歳以上で12.2%となり、シニア層の海外旅行からの卒業意向がうかがえる。ただ、若年層は年内実施の意向が高く、男性20代の18.7%を筆頭に女性20代が16.3%、男性30代が12.5%と続く。JTB総研は、「このまま渡航制限が長引くと、海外旅行の世代交代が加速するかもしれない」との見解を示している。

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