DMO候補7法人が登録取り消し、財源・人材不足や組織重複で コロナ禍も影響
2021.01.25 00:00

観光庁はDMO(観光地域づくり法人)の制度改正後で初となる更新登録を行い、7つの候補DMOの登録を取り消した。昨年4月の改正で更新制や取り消し規定を設けて要件を厳格化。このほど登録後3年以上経過したDMOを対象に要件を確認したところ、対象の42候補法人のうち同7法人が財源や人員不足などを理由に活動を打ち切る意志を示した。当初と比べ事業環境が変化したことも影響している。
秋田市の旅行企画会社トラベルデザインは外国人誘致を目的に羽後町とDMOを立ち上げ、タイや台湾の観光客に学びや体験プログラムを提供してきた。ただ、もともと観光地ではなく単独での展開に限りがあり、「周辺自治体との連携を検討したが、主体性が失われたり、行政側の予算負担が増えることの懸念が生じた」(同社)。体験プログラムが奏功し現状で満足している面もあり、DMOを解消することとした。
土湯温泉観光まちづくり協議会は、地域DMO候補の福島市観光コンベンション協会と対象地域や会員が重複する。協会がデータマーケティングを本格化している状況を鑑み、活動を共にして無駄を省くこととした。当初、隣接する裏磐梯エリアと観光振興に取り組む計画を描いていたが、歩調が合わなかった。「人材もおらず、コロナ禍で体力的にも単独では難しい」という。
小山町は地方創生推進交付金を当て込み、DMO法人として観光推進協議会を設定する計画だった。しかし、執行体制の変更や五輪延期で機運が変化。観光協会を法人化し、着地型観光など収益事業を強化する判断を下した。
観光庁によると、登録DMOを引き続き目指すべきか迷う候補法人はあるという。各法人は新制度下で判断を迫られそうだ。
【あわせて読みたい】DMO選別の時代 登録基準厳格化で底上げへ 観光庁、DMO登録基準を厳格化 観光地経営のいま コロナの時代に挑むDMO
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