HIS、国内事業4倍に拡大へ 初の最終赤字で構造変革、22年回復目指す
2020.12.21 00:00
エイチ・アイ・エス(HIS)はコロナ禍で低迷した業績の早期回復に向け、主力の旅行事業で国内旅行の売上高を4倍に拡大する。店舗の統廃合のスピードを速めて販売のデジタル化を促し、海外ではM & A で拡大した営業拠点や人員を整理する。決算説明会に臨んだ澤田秀雄代表取締役会長兼社長は、「21年下期からの黒字化が見えており、22年に19年水準までもっていきたい」と展望した。将来を見据え、飲食や人材派遣、農業など新規事業にも力を入れ、新たな収益の柱に育てる。
20年10月期の連結最終損益は250億円の赤字となった(前期は122億円の黒字)。赤字は上場以来初めて。売上高は46.8%減の4302億円で、渡航制限によるツアーの全面中止やハウステンボスの長期休園が響いた。
ホテルの新規開発など投資の抑制に加え、コスト構造を見直す。21年までに国内と海外の拠点を19年度比でそれぞれ100カ所程度減らす。国内の人員削減は行わないが、海外では一時解雇などで約2200人減らす計画だ。
旅行売上高に占める海外旅行比率は9割と依存度が大きい。バランスの取れた収益構造とするため、国内商材の仕入れやダイナミックパッケージの強化などで23年に国内旅行を1600億円と3割に拡大する。業界再編の可能性を視野にM&Aも検討する。
オンライン体験旅行も強化分野。パンフレットの代替としてリアルの旅行になげ、旅行前の収益源にする。
海外旅行では「有事のたびにシェア拡大を図ってきた」(中森達也取締役専務執行役員)といい、「反転速攻」を掲げて需要を先取りする方針だ。ただ、コロナ禍の長期化に備え、澤田会長は最悪のシナリオとしてハウステンボス売却も選択肢とした。
【あわせて読みたい】HISが相次ぎ新規事業 HIS、約220億円の資本増強 JTB、黒字化へ大構造改革 KNT-CT、21年3月でホリデイ・メイト終了へ ANAHD、旅行事業改革に大なた
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
週刊トラベルジャーナル最新号
アクセスランキング
Ranking
-
旅行取扱額で19年超え企業、11社に拡大 10月実績 海外旅行は7割まで回復
-
キーワードで占う2025年 大阪・関西万博からグリーンウオッシュまで
-
「海外旅行は国の大きな課題」 JATA髙橋会長、回復へ政策要望
-
肩書インフレという時代
-
観光産業底上げに国際機関が重要 PATA日本支部、活動を再び積極化
-
『日経トレンディ2025年1月号 大予測2030-2050』 勝負を決めるのは人間
-
旅行業の倒産、24年は低水準 零細企業中心に22件 すべて消滅型
-
ビッグホリデー、「旅行商社」を標榜 販売店との共栄へ新事業 まず介護タクシー旅行
-
海外旅行市場、若年女性がけん引 25年の実施意向トップ 国内旅行でも顕著
-
OTOAが5年ぶり新年会 海外旅行回復や支払い改善促進に期待