高速バスにもダイナミックプライシングの波、京王電鉄バスがB2Bで導入
2020.12.21 00:00
需要と供給に応じて売り値を変えるダイナミックプライシングが高速バスにも波及してきた。京王電鉄バスは座席予約システム「SRS」に価格変動機能を備え、12月17日から運行会社に向けて提供を開始した。高速バス事業は繁閑差が激しく、需要の平準化が長年の課題となっている。閑散日の利用を底上げし、収益拡大を図る。
SRSは予約・発券のほか、精算や利用分析機能をもつ基幹システムで、全国45社が利用する。今回、空が手掛けるダイナミックプライシングシステムと連携し、オプション機能として利用できるようにした。システムが座席の販売状況を定期的に確認し、路線ごとにあらかじめ定めた運賃変動条件に合致した日付・便を事業者に通知、承認されると価格が変更される仕組み。第1弾は、京王バスとアルピコ交通、長電バスが運行する新宿・池袋~長野路線、京王バスと宮城交通が運行する新宿~仙台路線となる。
高速バスは慢性的な運転士不足や発着枠の制限により、輸送力の確保が困難な状況にある。その一方で、特定の日や時間帯に需要が集中し、需要を取りこぼしている。ダイナミックプライシングをすでに導入している事業者はあるものの、ノウハウの不足や業務の属人化など、運用面での課題があった。
助言役として開発に関わった高速バスマーケティング研究所の成定竜一代表取締役は、「コロナ禍で需要見通しが不透明ななか、運行維持の鍵は収益性向上。ダイナミックプライシングは航空業界などで実績があり、高速バス業界にも有用と考えている」と話す。全国の事業者が利用するSRSに機能が備わったことで、「活用の動きが定着する」と期待している。
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