ANA総研、地域振興事業に手応え 観光庁誘客モデルで7件採択

2020.11.16 00:00

 ANAグループのシンクタンク、ANA総合研究所が地域活性化支援事業で成果を上げている。観光庁が目下推進する誘客多角化等のための滞在コンテンツ造成実証事業では、1次応募で自治体とともに提案した8件のうち6件、2次でも4件中1件が採択に至った。研究員の駐在や出張派遣を通じて課題の共有や解決に当たってきた契約自治体・団体は進行中も含め17に拡大しており、関係性と知見が生きた格好。各地を面で捉えた展開も見据えている。

 観光庁の誘客モデル事業は、コロナ禍に対応した新たな観光コンテンツや観光地づくりを目指すものだ。自治体が観光協会や民間企業などと組んで行う。ANA総研は関係のある自治体に声を掛けて提案した。全体で約550件が採択されたが、民間企業が手広く関わっているケースはまれとみられる。

 採択された7件のうち6件でワーケーションリゾートを打ち出した。地域ごとに異なる特色を取り入れつつ、新たな滞在型観光の実現を目指す。象徴的な事例が福島県裏磐梯で、地元との協議を重ね、雄大な自然を学びの場とした少人数制のガイドツアーや営業時間を延長して行うナイトミュージアムを企画。観光庁の片山敏宏外客受入担当参事官は「優れている」と太鼓判を押す。

 あえて共通のテーマを設定した狙いについて、ANA総研の稲岡研士取締役副社長は「将来的に面での展開を視野に入れている」と話す。「それぞれの地域を訪れる人を会員化し、他の地域も来訪するような仕組みをつくっていけたら」(同)

 同社はこれまで、欧米豪のミドルアッパー層をターゲットとする誘客事業にも取り組んできた。訪日旅行の再開に備え、受け入れの基盤づくりを進める狙いもある。

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