上半期の倒産、宿泊業が2.4倍 コロナの影響色濃く 旅行業は7.1%増

2020.07.20 00:00

 東京商工リサーチ(TSR)によると、20年上半期(1~ 6月)の宿泊業倒産件数は前年同期を140%上回る72件となった。過去20年で最少だった19年から一転、東日本大震災後の自粛の影響を受けた11年に次ぐ2番目の高水準。コロナ禍における訪日旅行の消失や国内旅行の需要減退による販売不振が響いた。旅行業は7.1%増の15件となり、2年連続で前年同期を上回った。

  負債総額を見ると、宿泊業は26.5%減の492億2400万円で前年同期を下回った。前年には負債総額450億円のエメラルドグリーンクラブが押し上げ要因となっていた。規模別では、1億円以上5億円未満が28件で38.9%と最多。5億円以上10億円未満の13件を合わせると全体の約6割を占め、中堅規模の倒産が多い。ただ、10億円以上が5件から12件に増えており、大型倒産の増加も目立つ。

  旅行業の負債総額は件数の少なさに反して288億4100万円に上った。6月に倒産したホワイト・ベアーファミリーが旅行業で過去最大の278億円となったことが押し上げ要因で、3年ぶりに前年同期を上回った。一方、その他は1億円未満が11件と7割を占め、小・零細規模が中心だった。

 地区別では、宿泊業は全9地区のうち北海道を除く8地区で増加した。中部が21件(前年同期8件)と最多で、近畿13件(同1件)、関東12件(同8件)と続く。旅行業は北海道、東北、四国を除く6地区で倒産が発生し、このうち関東が6件(同5件)と最多だった。

 TSRは今後について、従来からジリ貧に陥っていた中小・零細事業者を中心に倒産や廃業が増加することを危惧したうえで、「コロナの長期化で中堅規模以上の事業者も厳しい状況は変わらない」と見通している。