WTTC、英国の入国規則に苦言 一部緩和も「混乱招く」

2020.07.13 00:00

 夏の旅行シーズンを前に、諸外国で渡航制限措置を緩和する動きが加速している。先陣を切った欧州の中で後れを取っていた英国も入国規則を一部緩和した。ただ、イングランドのみ先行し、免除対象国にもばらつきが見られることから、WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)は「旅行者の混乱を招く」と非難。早期に感染防止対策を講じて旅行者の受け入れを再開した他国に比べ、国際線予約数の落ち込みが大きく経済的損失を招いている点も指摘した。

 英国運輸省は7月10日から、日本を含む59カ国・地域を対象に入国時の14日間の自己隔離を免除した。ただし、スコットランドなど他の自治政府との協議がまとまらず、全土での緩和に至らなかった。また、欧州域内でも複数国が免除されず、入国前に非対象国に立ち寄った場合は自己隔離を必要とした。

 観光関連11業種の安全プロトコルを策定するなど、感染防止対策を講じることで旅行の再開と産業の早期回復を目指すWTTCは、かねてから英国の対応に苦言を呈してきた。今回の緩和措置には歓迎の意を示したものの、「全面的な検疫は旅行を滅ぼし、経済活動を阻害するため、めったに使用されるべきではない。英国を競争上の不利な状況に置く」と指摘する。

 旅行情報会社とまとめた6月前半の欧州の都市別国際線予約数によると、
前年首位のロンドンが10位に転落。対照的に、いち早く衛生管理ガイドラインを策定したポルトガルのリスボンは9位から1位に急浮上している。

 WTTCの最新の調査では、全世界の観光産業で1億9700万人以上の雇用が失われると試算。旅行制限が早く解除されれば、損失がより軽微になるとしている。