ライアンエアー会長の「パッケージ終焉」発言は誤り?

2019.10.21 01:00

 トーマスクックの経営破綻を受け、ライアンエアーのマイケル・オレアリー会長は「パッケージは終わった」と発言したが、間違っている。海外旅行2大大国の英国とドイツではパッケージ需要は堅調に推移しており、モルガン・スタンレーの調査によるとパッケージツアーを利用した休暇が過去10年間で増加した。市場シェアは英国で40%、ドイツで43%を維持している。

 英国旅行業協会(ABTA)は、海外パッケージツアー購入者はテーラーメイド旅行、穴場ツアー、冒険旅行、クルーズ、ウェルネス、オールインクルーシブ型旅行を好む傾向にあるという。英国でパッケージが有利な点は弁済制度ATOLによる消費者保護だ。旅行者はトーマスクックのように旅行会社が倒産した場合に払い戻しを受け、帰国することができる。トラベルコーポレーションのブレット・トールマンCEOは、「トーマスクックの倒産はミスマネジメントの結果でパッケージツアーとの関係はほとんどない」と語る。トロントに本社を置くGアドベンチャーズ はここ数年で2桁成長を達成した。

 一方、エクスペディアの場合、18年のダイナミックパッケージの販売単価は単品素材より高く、キャンセルは2分の1、予約は16日早い。同社は昨年キャンペーンを実施、パッケージ価格でフライト予約後にホテルを予約できる機能を訴求した。エクスペディアのダイナミックパッケージ販売は増えており、宿泊単品より高い成長を示す。

 パッケージツアーがより柔軟なダイナミックパッケージと競合し続けることは明らか。消費者はより多くの選択肢を望んでおり、そのニーズに対応しなければならない。


この記事は米ニュースサイト「スキフト」を基にフォーカスライトの牛場春夫日本代表が執筆したものです。参考記事(英文)はこちら。
What Is the Future of Packaged Vacations After Thomas Cook’s Collapse?