質重視の京都市、観光消費額が過去最高の1.3兆円に
2019.08.12 18:46
京都市の18年の観光消費額は前年比16.1%増の1兆3082億円となり、過去最高を更新した。観光客数は修学旅行の減少が響き1.6%減の5275万人と3年連続の減少だが、宿泊客の増加で宿泊費や買い物代、飲食費が増え、全体を押し上げた。宿泊比率は30%に達した。市は量より質を重視する観光施策を推進しており、質に相当する滞在日数や消費単価の向上が形となって表れている。
観光消費額の内訳は、宿泊代が32.1%増の3276億5700万円と費目別で最大の伸びを示した。牽引役は外国人宿泊客で、実人数で27.6%増の450万人と過去最高を記録した。平均宿泊日数は全体の1.61泊に対して2.14泊、1人当たり消費単価は日本人の2.2倍の4万6294円だ。宿泊が増えているのは、市内の客室数が3月時点で約4万6000室と3年前に比べ1万6000室増え、供給が足りてきた影響も大きい。
京都市が抱える大きな課題が混雑の緩和だ。オフシーズンの底上げで月別観光客数の繁閑差は1.4倍まで縮小するなど平準化が進み、繁忙月の集中度合いは20%緩和された。ただ依然として清水・祇園は日本人観光客の半数が訪れる一方、山科や高雄は訪問率が数%と偏りがある。観光中の残念なことの有無を尋ねた調査では、「人の多さ、混雑」が日本人の選ぶ項目別トップとなり、外国人も上昇率が最大だった。
住民との調和を重視する市は、訪問時間の分散化や公共交通の混雑対策を進めている。3月からは観光名所などを走る路線で前乗り後降り方式を導入し、円滑な乗降や車内移動につなげている。今後、宿泊観光を推進することで宿泊税の増収を図り、その財源をもとに観光客と住民の満足度を高める施策に投じる方針だ。
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