BCDトラベル、訪日出張需要にらみ日本市場に攻勢
2019.07.29 17:47

業務渡航の一括管理(BTM)で世界的大手のBCDトラベル(オランダ)は7月1日、日立物流が保有する日立トラベルビューローの全株式のうち70%を取得し、子会社化した。これを足がかりに日本でのシェア獲得に向け、サービス提供基盤を強化する。BTM大手では、アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベルが日本旅行、カールソン・ワゴンリー・トラベルがJTBと組み、一定の立ち位置を築いている。BCDの本格参入で競争が加速しそうだ。
日立トラベルは2011年からBCDの日本代理店を務め、BCDがグローバル契約を結ぶ海外企業の日本支社などの出張手配を担ってきた。提携により取引を開始した企業は150社に上る。取扱額はここ数年拡大傾向にあり、18年度は前年度比3.5%増の356億円。ただ、日立物流によると、営業利益は横ばいで伸び悩んでいた。伸びしろのある日立グループ以外の海外企業を取り込むため、BCDの子会社とするほうが「シナジーや投資利益が見込めると判断した」(経営戦略本部)。
BCDが狙うのは、急増する日本市場をめぐる業務渡航需要だ。英シンクタンクとの共同調査によると、18年の企業の出張費(海外、国内、訪日の合計)は870億ドルで、23年までに年平均3.4%の安定した成長が続く見通し。なかでも訪日出張は18年に22.5%増で牽引役となっている。
親会社となったBCDトラベルアジアのグレッグ・オニール社長は、「当社の顧客企業にも同様の傾向が見られ、日本は世界的に重要な市場になりつつある」との認識を示す。「日本でBTMの需要も高まっており、組織を1つにすることで技術力を強化し、顧客に真にシームレスな旅行プログラムを提供できる」と意欲を示している。
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
キーワード#BTM#新着記事
アクセスランキング
Ranking
-
雇調金受給額、観光関連が上位独占 ANA筆頭にKNT-CTやHISも
-
12月百貨店外客売上89%減、通年は4年ぶりマイナス
-
ワクチン接種開始で新サービス、旅行会社やバス会社が余剰資源生かして
-
四国全域でワーケーション推進、周遊型プランや紹介窓口を整備
-
オンラインツアー好調の琴平バス、訪日も強化 コロナ後へ未開拓エリア紹介
-
持続可能な観光地経営 待ったなしの行動改革とイロハ
-
シニアの国内旅行意欲が復活 JTB総研調査、海外旅行の世代交代も
-
20年の日本人国内旅行消費55%減、近場旅行伸び単価9%低下
-
MSCクルーズ、新造船に人型ロボット 最新技術で未来空間提供
-
『女将は見た 温泉旅館の表と裏』 伝統文化支える存在たるゆえん