『ねこと私とドイッチュラント』 癒やされながら親しむドイツ文化
2019.03.18 18:48
実は行ったことがないのだけれど、海外旅行好きの知人のなかでも人気が高いドイツのベルリン。重厚な歴史と緑豊かな街並み、そして一種独特の自由な空気のバランスがいいのだとか。現地に暮らす友人も、思った以上に過ごしやすい街で、物価上昇はキツいものの当分帰国の予定はないらしい。
そんなベルリンで暮らす日本人女性トーコちゃんが、相棒の猫「むぎくん」との暮らしをつづったコミックエッセイをご紹介しよう。
まず絵本みたいな絵柄がかわいい。きれいな石畳や広い歩道、クラシカルな建物や大きな公園。丁寧に描きこまれたディテールで、むぎくんとトーコちゃんと一緒に散歩しているような気分になれる。彼らが暮らすアパートの描写も非常に細かく、たいていの家にある地下室や、ドイツ人も意外と靴を脱いで入ることが多い部屋の構造や生活習慣など、へぇ、となること多し。
そして何より、食いしん坊の筆者として魅力を感じてしまうのは、ふんだんに出てくる食べ物の描写だ。料理好きなトーコちゃんは現地の食材をさまざまに使っておいしそうなご飯を食べている。ネクタリンを半分に切って、砂糖やシナモン、バターを載せてオーブンで仕上げる焼きネクタリン、現地の食材を使って作る熱々の豚汁や鍋で炊くごはん、青空市場で買うチーズやパン。ドイツのカップヌードルやインスタントマッシュポテトも、なんだか美味しそうだ。
サマータイムや日本と全然違う医療システム(病院の予約が全然取れないのでみんな自力で治そうとする)、電車の使い方など、ベルリンの初歩的旅ガイドとしてもよさそう。
のんびりほっこりしたストーリーと絵柄で、なんとも癒やされるかわいらしい作品だ。
山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
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