『民泊1年生の教科書』 共存すべき異業種との思い新たに
2024.05.27 00:00
本稿執筆日はゴールデンウイーク最終日。京都のオーバーツーリズム、今期も盛り上がっておりました。スーツケースを転がす外国人がホテルではなく、小さな町家やマンションに吸い込まれていく光景も珍しくなくなった。
「カウチサーフィンっていう、ホテル代わりに人んちに安く泊まるやり方があるんだって」「へー」なんて会話を旅仲間としたのが20年前。その後、人の移動は飛躍的に増え必然的に宿も増えた。海外はともかく、ヨソモノに警戒心の強い日本でこんなに民泊が広がるなんて誰が予想しただろうか。
そこで今回の一冊。民泊をやりたいが方法がわからない初心者向けのノウハウ本だ。著者は商社で働きながら民泊14軒、シェアハウス4軒を経営するスーパーOL。コロナ禍を乗り越え収益を上げ続けるノウハウを民泊サロンで伝授し続けている。
「副業収入で1000万円超えも夢じゃない!」という威勢のいいキャッチコピーが示すとおり、民泊というのは旅行や観光業ではなく、不動産投資の世界だ。本書では、はじめの一歩にふさわしい物件の探し方、立地の考え方、資金から始まって、手続きのステップも一つ一つ丁寧に解説。家具の選び方やゲストから質問が多い内容、予約を増やす方法など、かゆいところに手が届くきめ細かさで解説しており、読み終わるとなんだか明日にでも始められそうな気になってくる(単純)。
なにかと問題にされがちな民泊だが、いまの世界に必要なインフラであることは確か。高いコスパ、無駄のない運営を突き詰めるのが民泊だとしたら、プロが運営する宿泊業はそうではない部分を突き詰めていくべきなのだろう。民泊は競合相手ではなく共存すべき異業種。そんな思いを新たにした。
山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
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