『みんなの機内食 天空のレストランへようこそ!』 夢ある空の旅気分に浸って
2024.02.12 00:00

「機内食って美味しいんですか?」
大学生バイトとの雑談で出た質問だ。最近は機内食どころかそもそも飛行機未体験な若者も珍しくない。なので機内食は幻の味なのだとか。
そういえばLCCが一般化してから、自分も機内食の認識が変わった気がする。レガシーキャリアも以前より地域色が弱まり、どこでもそこそこ美味しいせいか、「なにが出るかな?」というイベント感は薄まったように思う。
ただ本書を眺めていると、それは己の認識が甘いだけ、とも思う。特にビジネスクラス以上(←ここ大事)では、ご当地食を意識したバラエティー豊かな食事が提供されているのだった。
本書は03年に開設された機内食口コミサイト「機内食ドットコム」に寄せられた情報に取材を加えてまとめたビジュアル本だ。サイト自体も見応えがあり、世の中にはこんなに機内食を愛する人々がいるのだと感心するばかり。掲載口コミをフライト方面別に分類し、さらに各エアラインのファーストクラスやプライベートジェットの機内食も取材している。ミャンマーやカンボジアの素朴な機内食も登場するが、やっぱりビジネスやファースト、特に日系の食事はきめ細かな工夫に感心するし、エミレーツのA380に至っては「機内でシャワーって」と目を見張る。
やっぱり飛行機、夢あるわあ……と思いつつ、最近の空港ラウンジのファーストクラスの高級化(そしてビジネスラウンジの大衆化)を連想して、お金をいっぱい払った順に幸せになれる、という資本主義の原則にあらためて気が付くのであった。
と、嘆きつつも、写真はどれも美味しそう。コラムの「機内食写真の撮り方」は勉強になるし、眺めているだけで旅気分に浸れる一冊だ。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
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