長崎IR計画の不認定、有識者委「投資家への利益還元が優先される懸念」
2024.01.15 00:00
国土交通省は、長崎県とIR実施会社のKYUSHUリゾーツジャパンが申請していたカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画を認定しないと発表した。審査を行ってきた有識者委員会が、資金調達の確実性を裏付ける根拠が十分ではなく、要求基準を満たしていないと結論付けたことを受けた判断。これによりIRの整備計画を進めていけるのは、昨年4月に認定された大阪のみとなった。
長崎県らの計画では、佐世保市のハウステンボスの敷地内で27年秋ごろの開業を予定。5年目の31年度には訪日客を含む延べ840万人の来訪と売上高約2700億円を見込んでいた。初期投資額は約4400億円で、6割の約2600億円を金融機関からの融資で賄う計画だった。しかし資金調達先の1つとされる金融大手のクレディ・スイスが昨年3月に経営危機に陥り、資金調達の先行きが不安視されていた。
有識者委員会によれば、出資・融資予定者が22年4月の申請時から大きく変わっているうえ、資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料が提出されていないなど不備が見られた。
さらに、カジノオーストリアインターナショナル(CAI)以外の出資予定者にIR運営の実績やノウハウを持つ企業がおらず、CAIも実績が十分に確認できず資本的関与も不十分だとした。出資額の多くを投資会社等からのものが占めるため、収益の事業への還元などよりも投資家への利益還元が優先される懸念を払拭できないと指摘した。
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カテゴリ#観光政策#新着記事
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