中国団体旅行解禁、市場拡大に弾み 国慶節から本格化 志向には変化も
2023.08.28 00:00
中国政府が8月10日に日本への団体旅行を解禁したことを受け、訪日旅行市場の一層の回復に期待が高まっている。1~7月の訪日外国人旅行者は全体で1303万3000人を数え、コロナ前の19年同期の66.4%まで戻った。シンガポール、ベトナム、米国、メキシコなどがすでに19年を1割以上上回って回復するのに対し、コロナ前に3割を占めていた中国はわずか16.3%と大きく低迷する。だが、中国人の上半期の海外旅行先で日本は上位に付けており、団体旅行の解禁で一気に回復が進む可能性がある。
中国旅遊研究院が公開した上半期(1~6月)のアウトバウンド観光ビッグデータ報告書によると、中国本土から海外旅行に出かけた人は4037万人。行き先はマカオと香港が圧倒的なシェアを占めるが、それを除く実質的な海外ではタイが3.3%、次いで日本が2.4%だった。
団体旅行の解禁を受け、送客が本格化すると見られるのが10月の国慶節だ。ただ課題もある。8月21日に会見した観光庁の髙橋一郎長官は「中国の旅行会社の旅行商品造成に関する情報が不足しており、日本側のランドオペレーターとのつながりが切れている」と指摘。対策として、日本政府観光局(JNTO)が北京や上海などで情報提供や事業者紹介の場を設け、今後は広州でも予定している。
コロナ禍を経て中国人の旅行志向も変化している。中国旅遊研究院によると、現地のライフスタイルを感じ、体験したいという傾向が強まっており、爆買いと言われたかつてに比べ消費はコトに移行している。特に経済的に豊かな北京や上海、広州、深圳の旅行者の場合、1つの目的地での平均滞在日数は他都市より長めの傾向が見られるという。
【あわせて読みたい】2023年3月6日号>混迷の中国市場 インバウンド復活の鍵握る隣国の動静 京都市、中国市場が回復傾向 延べ宿泊数は米国に次ぐ2位
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