HIS、事業構造とマインドを改革 非旅行事業の利益5割へ 社員の意識統一
2022.12.26 00:00
エイチ・アイ・エス(HIS)は今期の黒字化に向け、事業構造の見直しとマインド改革を急ぐ。22年10月期は純損失95億円を計上し、3期連続の赤字となった。ハウステンボスの売却益408億円が貢献し、赤字額は前期の500億円から大幅に縮小したが、主力の海外旅行の回復が遅れるなど、解消には至らなかった。経営改革の1つに事業構造の見直しを挙げ、非旅行事業の利益規模を旅行関連事業と同じ割合にまで拡大する。
本業のもうけを示す営業損益は479億円の赤字だった(前期は640億円の赤字)。海外旅行は市場が回復している地域に集中して送客を強化し、パッケージツアー比率を高めて収益性の改善を目指す。ただ、円安の影響や物価高で短期での急回復は見通せない状況のため、新たな分野でより稼ぐことが不可避となっている。
コロナ禍を受けて飲食など新規事業の開拓に取り組んできたが、非旅行分野はまだ利益の2割にとどまる。強化の中心に据えるのが自治体の受託業務(BPO)など地域活性化に関わる事業だ。すでに同業大手を中心に開拓が進み、HISは一部手掛けるとはいえ出遅れている。しかし、矢田素史代表取締役社長は、「市場が大きい。自治体から新しい視点でできないかといった声が寄せられている」と成長性を見込む。
経営状況の回復の遅れに対する危機感は、社員のマインド改革からも透けて見える。社会での存在意義を示すパーパスを制定し、行動指針を取り決めた。盛り込んだのが挑戦者という創業時からのアイデンティティーだ。「コロナ禍により出向や休業などでばらばらに勤務していた社員の意識を統一し、創業の原点と価値基準を再確認したい」(矢田社長)としている。
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