国際旅行、年内に35%減まで回復 UNWTO推計 観光輸出額は2割減の1.3兆ドル
2022.12.05 00:00
国連世界観光機関(UNWTO)によると、世界の国際旅行市場の回復が進み、1~9月の国際旅行者数(到着ベース)は推定7億人となった。前年同期を133%上回り、コロナ禍前の19年の37%減のレベルに相当する。22年末までには35%減に到達する見込み。旅行に対する強い潜在需要に加え、入国制限の緩和や解除などが人数を押し上げている。
地域別に見ると、引き続きヨーロッパと中東が全体の回復をリードしている。ヨーロッパは前年同期の2倍以上(126%増)、中東も3倍以上(225%増)で、それぞれ19年同期の19%減、23%減まで回復した。アフリカ(166%増)と米大陸(106%増)も高い伸びで、それぞれ19年同期の37%減、34%減となった。
アジア太平洋地域は3倍以上(230%増)となり、9月末に日本を含む多くの旅行先の入国制限が緩和・解除されたことを反映している。ただし、主要市場の中国が引き続き国境を閉ざしているため、19年同期の83%減にとどまっている。
国際観光の堅調な回復は、航空輸送やホテル稼働率など、さまざまな業界指標にも表れている。1~8月の国際線座席数は19年同期の38%減に達し、国内線のキャパシティーは14%減まで戻った。世界の平均ホテル稼働率は9月には66%に達し、1月の43%から上昇した。
ロシアのウクライナ侵攻で悪化したインフレやエネルギー価格の高騰などが22年第4四半期と23年に向け回復ペースを圧迫する可能性がある。それにもかかわらず観光輸出額は22年に1.2兆~1.3兆ドルに達すると予測。21年比60~70%増、19年比で20~30%減となる見通しだ。
【あわせて読みたい】1~7月の国際旅行者、前年の2.7倍 UNWTO統計 回復時期見通しは悪化
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