人手不足で需要取りこぼしの懸念 宿泊や添乗で深刻 円安で外国人雇用にも課題
2022.11.28 00:00
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観光産業の人手不足が深刻さを増している。10月の水際対策緩和と全国旅行支援の開始で国内外の旅行需要が一気に顕在化し、現場の対応が追いついていない。とりわけ訪日旅行において顕著で、観光庁の和田浩一長官は「需要があってもすべて受け止めきれない可能性が出てきているのではないか」と課題認識を明らかにした。
10月の訪日外国人は49万8600人と9月に比べ約2.4倍。このうち観光目的は28万8909人で約15倍に拡大した。KNT-CTホールディングスではMICEなど相当数の問い合わせが寄せられている。「メールに回答するのが精一杯という状況。回復が予想よりはるかに早い」(米田昭正代表取締役社長)。
人手不足はコロナ禍で各社が実施した人員削減や新規採用の抑制が響いている。流出した人材が戻らず、派遣添乗員の場合、年明けから春先まで争奪戦の様相を呈する。
地方はより切実だ。北海道は「外国人に頼らなくてはならないが、円安のため日本に来ても稼げない。人手不足は深刻」(山﨑雅生観光振興監)。働き手は賃金がより高い場所を求めており、国内でも人材確保に地域格差が生じている。和田長官は「官民が連携して賃金水準など待遇改善を図りながら雇用を確保していくのが重要」とする。
そうしたなか、ITで補完する動きも目立つ。リクルートでは、受付管理サービス「Airウェイト」に関する観光事業者からの問い合わせが8~10月に月平均で前年同期の約2.6倍に増えた。特に宿泊事業者は7倍に急増。チェックインや朝食時の待ち時間が課題となっているためで、客室数が多いチェーンホテルなどで導入が進む。同社は業務負担の削減と人手不足解決につながるとみている。
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