国際クルーズようやく再開 外国船に厳格なガイドライン 寄港地の負担軽減へ配慮

2022.11.21 00:00

 20年3月を最後に停止していた国際クルーズがようやく動き出す。関係団体が感染拡大予防ガイドラインを作成し、国土交通省が危機管理など専門家の意見を踏まえゴーサインを出した。政府は10月の水際対策緩和に際し、国際線を受け入れていない港で準備が整い次第再開するとし、ガイドラインの策定が待たれていた。

 日本発の海外クルーズ再開1号は商船三井客船が12月に予定するモーリシャスクルーズで、外国船の日本寄港や日本発着クルーズは23年3月からの見通し。

 ガイドラインは、日本国際クルーズ協議会(JICC)が外国船社向けに作成したほか、日本外航客船協会(JOPA)と日本港湾協会が国際クルーズに対応する規則を加えて改定した。JICCは最も厳しいとされる豪州の運航再開ガイドラインを取り入れた。

 特に配慮したのは有症者が発生した場合の対応だ。運航会社が迅速に検査やゾーニングなどで隔離を行い、船医が船内での感染防止対策が可能と判断する場合はそのまま継続する。寄港地での下船を原則求めず、受け入れ自治体の負担を軽くする狙い。オミクロン株の重症化リスクは低く、世界ではこれが標準になっているという。ただし、陸上での治療が必要となる場合は、医療機関のあっせん要請などについて事前に自治体と合意形成を図る。

 船社関係者によると、客船が留め置かれる可能性があった検疫措置も見直され、運航上のリスクが低下する。

 今後は寄港先の自治体と協議し、合意できれば順次受け入れが再開していくこととなる。観光庁によると、3月以降、166本が計画されている。日本発着クルーズでは、プリンセス・クルーズが32出発日22コースを設定している。

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