観光庁概算要求、2倍の447億円 観光地再生へ基金も検討 複数年で支援
2022.09.05 00:00
観光庁は23年度予算の概算要求で前年度比100.8%増の446億8800万円を求めた。このうち一般会計は要求額上限水準となる24.9%増の176億8800万円、国際観光旅客税充当分は旅客回復予測を踏まえ233.5%増の270億円とした。観光立国の復活に向けて基盤を強化し、訪日旅行回復の機を逃さずにプロモーションを展開する。金額を明示しない「事項要求」では、観光地の面的再生を強力に推進するため、複数年での支援を可能とする基金など制度の創設を盛り込んだ。
廃屋の撤去などを可能とする観光地再生・高付加価値化事業は、21年度の経済対策関係予算で1000億円を確保した重点事業だが、単年では計画立案や工事が間に合わないなど難しさを指摘する声が上がっていた。複数年で行えるよう、基金に限らず国庫債務負担行為なども含めて仕組みを検討する。
23年度事業のうち受け入れ環境整備関連で目立つのが、地域一体でのデータ活用だ。「DXや事業者間連携等を通じた観光地や観光産業の付加価値向上支援」(15億円)では、宿泊施設の管理システムを地域共通基盤に接続し、予約・在庫データを需要予測や価格調整に役立てるようにする。イベント興行主等の来場者データを自治体やDMOと共有して消費額増を図る施策も想定。持続可能な観光の面でも、オーバーツーリズムを防ぐため、混雑状況を可視化するシステムの整備を支援する。
新規事業では宿泊業の食の価値向上(5700万円)に取り組む。食を売りに滞在価値向上を実現できている事業者は少なく、一流シェフとのマッチングなどを通じて先行事例をつくる。
このほか、東日本大震災からの観光復興を目指す復興枠で横ばいの7億7000万円を要求した。
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