持続可能な地域経営の手引き策定 運輸総研・UNWTO駐日事務所 着手の糸口を提示
2022.04.04 00:00
運輸総合研究所と国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所は、観光を活用した持続可能な地域経営の手引きをとりまとめた。人口減少など課題に直面する地域では、観光を通じた交流・関係人口の拡大と併せて経済、社会、環境と調和の取れた地域づくりが求められている。世界的機運が高まる一方で、取っ掛かりをつかめないという自治体やDMO は少なくない。実践に向けた具体的な手順を示すことで、持続可能な地域づくりを後押しする。
約170ページに及ぶ手引きは、観光庁が20年に作成した日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)を補完する位置づけ。目玉は、対象地域の明確化から課題の特定、指標の具体化、モニタリングまでの11のステップで、UNWTOの指標に基づき日本向けに一部カスタマイズした。なかでも指標の選定は検討に多くの議論を要する部分で、地域が観光計画を策定するうえでの課題となっている。指標選定までの具体的なアプローチのほか、ニセコ町や釜石市などの先行事例を充実させた。
地域の利害関係者を参画させることも重要なステップの1つ。持続可能な地域経営を行う意義やメリットを説明することを想定した例示を盛り込むなど、手厚い内容とした。これまでに自治体やDMOから吸い上げた意見や要望を各所に反映した格好。手引きは運輸総研のホームページからダウンロードできる。今後、事例を蓄積する仕組みや相談先のネットワークづくりの仕組みも整える。
UNWTO駐日事務所は手引きをアジア太平洋地域に適用する国際展開を視野に入れている。持続可能な観光地域づくりを日本から呼びかけ、牽引したい考えだ。
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