観光庁概算要求、2%増の417億円 第2の故郷づくりや宿泊業の新モデル導入

2021.09.06 00:00

 観光庁は22年度予算の概算要求で前年度当初予算比2.1%増の417億3500万円を求めた。このうち一般会計は19.8%増の177億3500万円、国際観光旅客税充当分は7.9%減の240億円。コロナ禍で打撃を受けた地域や事業者を多面的に支援しつつ、コロナ禍後を見据え、新たな市場開拓や持続可能な観光地育成に新規予算を割く。コロナ対応に必要な施策は項目のみの事項要求とし、感染状況や需要動向を踏まえて予算編成過程で検討する。

 新規事業は2つ。ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援に4億5000万円を要求した。「第2の故郷づくり」と称し、中長期滞在者や反復して訪れる人を増やすため、継続した関係性を築くきっかけづくりに取り組む地域を支援する。社会的な目的にスキルを提供するボランティア活動(プロボノ)や貸農園のオーナー制度が一例。効果や課題を検証し、優良事例を他地域に広げる。持続可能な観光推進モデル事業にも同額を新規配分した。日本版持続可能なガイドライン(JSTS-D)を導入するモデル地域をこれまでの20件から数十件に広げる。

 最も予算額を増やしたのが、宿泊業での新たなビジネス手法の導入だ。7倍の7億円を投じる。宿泊業を地域の観光産業と旅行消費の核に位置付け、付加価値を生み出し波及効果を狙う。セントラルダイニングの導入による泊食分離など、地域全体で協業する事業や複数業種の連携による新規サービスを重点的に支援する。実証事業に50件程度を計画している。

 このほか、復興枠で166.7%増の8億円を求めた。福島県の観光復興支援に加え、ブルーツーリズム推進支援事業としてALPS処理水の海洋放出による風評対策を講じる。

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