コロナ下の旅館、地域連携を強化へ 宿目的の客増加で重要項目に
2021.06.07 00:00
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部が加盟宿泊施設を対象に行った調査で、コロナ下で売り上げが低迷するなか、環境の変化に対応して新たな施策を講じている現状が浮かび上がった。特に重視するのが地域間の連携強化。異業種などと提携する事例が出てきており、宿が地域観光のハブになる動きが加速している。
2~3月に実施した調査によると、回答した270施設のうち、74.8%が前年同期に比べ売り上げが40%以上減少した。80%以上は14.1%を占める。回答者の大部分が従業員50人以下の小規模施設で、3割は50室以下かつ平均単価1万5000円以下の宿だ。コロナ禍で旅行会社の仲介や団体旅行が減っていることもあり、オンライン予約を強化する傍ら、密を避けた旅行様式への対応が進む。提供する食事の時間や内容の工夫(56.7%)、チェックイン・アウトの柔軟化(29.6%)、ワーケーションプランの開発(26.7%)が上位に上った。
一方、今後始めたい施策の筆頭に挙がったのが、地域の他施設などとの連携強化だ。経営体質の改善・見直しと並び最も回答が多く、小規模施設ではトップ項目となった。先行事例も見られる。調査と並行して実施したオンラインワークショップでの報告によると、長崎県伊王島のアイランドナガサキが近隣スーパーと提携し、ポイントカードの提示で特典を付与。栃木県の山水閣は、参画する那須エリア・ネイチャーツーリズム協議会で体験プランの窓口を地域で一元化している。
全旅連青年部は宿だけを目的に訪れる客が増えているといい、「地域の魅力を伝えることや資源発掘が求められており、宿と地域が協業する必要が高まっている」としている。
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