阪急交通社、旅行業の枠超え地域振興 一般社団法人設立で
2020.08.10 00:00

阪急交通社は旅行業のビジネスモデルに捉われない地域振興を目指し、一般社団法人地域未来企画を8月3日に設立した。取り巻く環境が大きく変化するなか、事業ドメインの拡大が急務となっている。ツアーでの送客にとどまらず、観光プロモーションや特産品販売、地域交流会の開催、ワーケーションの推進など、幅広く展開する。
同社は16年に鹿児島県長島町と結んだ連携協定を皮切りに、地域振興に着手。閑散期の誘客や農業と観光を掛け合わせた地元産業の活性化、訪日客の誘致などを全国で展開し、実績を重ねてきた。一方で、得意とする添乗員付きツアーを基軸にすると、大人数を受け入れる環境のない地域は対象から外れ、需要を取りこぼしかねない。民間企業では利益につながらない案件を手掛けることのやりづらさもあった。代表理事に就任した室田伸一マーケティング部長は、「旅行業の枠に捉われない自由な展開ができれば」と展望する。定款からはあえて旅行を外した。
描くのは、1つの事業が次の展開を呼び込み成長を促す、文字どおり未来につながる地域振興だ。推進役として、元長島町副町長で内閣府で地方創生に関わる井上貴至氏と、東京都港区観光大使で地域に造詣の深い澤内隆氏を理事に迎え入れた。企画、町づくり、地域理解という3者の強みを生かす。
強化分野の1つが課題解決型ワーケーション。「地域の関係人口の創出につながり、企業にとってはビジネスチャンスとなるような関係づくりを担いたい」(室田代表理事)。まずは今年度中に長崎県五島市で実現にこぎ着けたい考えで、現在協議を進めている。
コロナ禍で注目を集めるオンラインツアーを生かし、地域の案内役を認定する制度も検討している。
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
キーワード#ワーケーション#新着記事
アクセスランキング
Ranking
-
KNT-CT、6割増収で赤字縮小 今期の黒字化予想 非旅行業を強化
-
訪日実証ツアーで観光再開へ前進 米国など4カ国 旅行大手6社が実施
-
「このままでは観光孤立国に」 観光関連団体、水際対策緩和要望で危機感あらわ
-
4月の客室利用率63.8% 前年比18.5ポイント増 9地域でプラス
-
旅行促進へメタバースの役割増加 83%が購買に興味
-
クルマ離れが変える旅 免許保有率低下のなかで
-
エクスペディアが新戦略、事業者の旅行販売を包括支援 検索機能の改善も
-
関西経済同友会、舟運の活用を提言 クルーズで関西の広域観光模索
-
持続可能な旅の企業連合、エクスペディア加盟で活動に広がり CO2排出量測定など
-
旅行の成約率が上昇傾向 買い物かご放棄は減少